金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第37話 そのメイド、最強につき

セシールは戦闘メイドだったのだ。
それも、かなりの凄腕。
アリーセに及ばないが、いつか届きそうな勢いであった。
侯爵もとんでもない人材を送り込んできたもんだ。

「全く、侯爵も食えない方ですわね」

アリーセは改めて、あの男のしたたかさを知る事になる。

「はい。お嬢様にお仕えするなら、普通のメイドでは駄目だろうと、おっしゃっておりました」
「私を何だと思っているのかしらね……」

アリーセはため息混じりの声で言った。

「とりあえず、この石みたいなものは、私が調べてみますわ」
「かしこまりました」

アリーセは、半透明の石をポケットへと仕舞い込んだ。

「それで、今日のご予定をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

セシールが尋ねて来た。

「今日はギルドに顔を出しますわ。ついでに、適当な依頼でも受けようと思っていますわ」
「それでしたら、私もお供致します」
「1人でも大丈夫ですわ」

アリーセもこの街には、だいぶ慣れて来た。
道に迷う心配もなければ、敵襲にあったとしても、何とか出来るだろう。

「いえ、何やら嫌な気を感じます。お嬢様、お一人では荷が重いかと」
「やっぱり、気付いてしまうのですね」

このメイド、相当な手練れである。
アリーセでさえ、気を抜いたら見逃してしまいそうな、小さな異変も、即座に察知している。

「分かりましたわ。では、一緒に行きましょうか」
「承知しました」

アリーセは屋敷を出る。
三歩後ろを、メイド服姿のセシールが付いて来ている。

「お嬢様、やはり」
「後をつけられていますわね」

アリーセたちの後方、50メートルは離れているだろうか。
誰かに監視されているような視線を感じ取る事が出来た。

「おびき出しますか?」
「出来るんですの?」
「この街の道は全てここに」

そう言って、セシールはこめかみの部分を人差し指で数回叩いた。

「流石、ですわね」
「こちらへ」

セシールに言われた通りの道順で進んで行く。
アリーセが、まだ把握していない道ばかりであった。

「ここは?」

そこは周りは廃墟しかない、人通りが全くと言っていいほど無い所だった。

「ここは、ほとんど人気がありません。彼らが姿を現すなら、今が絶好のタイミングでございます」

確かに、アリーセでも、この好機を逃す手はないだろう。
セシールの言う通り、監視されていた気配、視線が一気に近づいたのを感じた。

「お嬢様、きますよ」
「ええ、そのようですわね」

アリーセとセシールは敵に囲まれていた。
数は多くない。
せいぜい3人か4人と言ったところだろう。

「おっと、危ないですわね」

次の瞬間、太めの針のようなものが、アリーセとセシールの額に向かって飛んできた。
それを、アリーセは、人差し指と中指の間で受け止めると、地面に投げ捨てた。
セシールは、針を魔法で相殺していた。

「中々、やりますわね」
「お嬢様も、流石の動体視力です」
「では、ご挨拶するとしましょう」

二人は戦闘態勢に入った。

          

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