金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第32話 バスラー公爵の手先

アリーセが帰還要請を突っぱねた翌日、昼過ぎに、依頼を受ける為に宿屋を出た。
その時、見張られている気配を感じ取った。

「面倒ですわね。ちょっと、挨拶してあげましょう」

アリーセは、あえて、目立たない裏路地へと入った。
その刹那、騎士の鎧を身に纏った、5人の男に囲まれた。

「お前ら、何もんだ?」

アリーセは身構えた。
明らかに、メールス王国の騎士ではない。

「アリーセ・ベートだな。バスラー公爵の命を受け、貴様を処刑する」

確かに、鎧にはバスラー公爵家の家紋が入っていた。

「いいのか? ここは他国だぞ? 国際問題になりかねんぞ」
「全ては、貴様の口を封じればいいだけのこと」

騎士の隊長と思われる男が言い放った。

「ほう、死人に口なしってやつか。おあいにく様。私もこんなところで死ぬわけにはいかないんでね」

自分の金髪縦ロールに硬化魔法と重力制御魔法を展開する。
それと同時に、腰に挿した剣に手をかけた。

「大人しくしていれば、一瞬で済んだものを」
「お前らを倒し、バスラーの野郎に一泡吹かせてやんよ」

アリーセは、全力の殺気を放った。
その殺気に、騎士たちは一瞬たじろぐ。

「やれ」

体調の指示により、他4人の騎士が剣を抜き、アリーセを囲む。
4人がほぼ同時に切りかかってくる。

「悪くない剣筋だな」

後ろに硬化した縦ロール、前には剣で受け止めていた。

「何!? 受け止めた、だと……」
「あんまり、私を甘く見ないことだな」

左後方の騎士に思いっ切り蹴りを入れて吹っ飛ばす。
同時に後ろに跳躍することで、騎士との間合いを取る。

「ほう、一人やったか。流石は、元参謀のSランク冒険者だ」

隊長が少し遠めで見ていた。

「クッソ、なんて女だ。鎧ごと吹っ飛ばすなんて」
「まだ、続けたいのか?」

敵、3人と対峙している。

「当たり前だ」

そのまま、前方の騎士が剣を振り下ろす。
それを、半歩移動するだけで躱す。
完全に振り下ろされた剣を握った、手にかかと落としをお見舞いした。

「うっ」

クリーンヒットしたかかと落としに、騎士は剣を落とした。
そこに、顔面に回し蹴りを入れた。

「かっは」

騎士は、その場で意識を刈り取った。
残る騎士は三人。
今、対峙しているのは二人だ。

「隊長、この女、ヤバくないですか……」
「強くても、所詮は女だ! 怯むな!」
「は、はいぃ!」

対峙する騎士は、剣を構え直した。

「いい加減、諦めてくれると嬉しいんだがな」

アリーセも剣を構える。
騎士は、剣を横に大振りする。
後ろに跳躍することで、その攻撃を躱すと、一気に間合いを詰めた。

「何!?」

騎士は驚いた表情をいたが、気付いた時にはもう遅い。
片刃の剣の峰を使い、打撃を腹に打ち込んだ。

「かはっ」

肺の空気が押し出され、情けないうめき声を上げ、その場に倒れ込んだ。
これで、残る騎士は二人になった。

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