金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第30話 メールス国王の懸念

アリーセは侯爵の連れられ、王宮の応接間に来ていた。

「失礼します。陛下、アリーセさんをお連れしました」
「おう、わざわざすまんな。まあ、座れよ」

陛下が促した。

「し、失礼いたします」
「そんなに、かしこまらなくていいよ。もう、式は終わったんだしな」
「ありがとうございます」

アリーセと侯爵は、陛下の対面に腰を下ろした。

「改めて、メールス王国国王、ラウル・メールスだ」
「アリーセ・ベートと申します」

アリーセは、恐縮しながらも頭を下げた。

「そんなに、恐縮しなくてもいい。元、ミューレンの軍事参謀なんだろう?」

そう言って、陛下は笑った。

「ご存じ、何ですか?」
「ああ、このディオン侯爵の推薦と聞いた時は何事かと思ったよ」
「そんなに、侯爵は厳しいんですか?」
「まあな、こいつはな、」
「陛下、その辺で勘弁してくださいよ」

侯爵が割って入ってきた。

「おう、そうか? じゃあ、やめておくか」

アリーセは、気にはなったものの、深く追及はしなかった。

「それで、早速だが、本題に入らせてもらうが、アリーセさんは、ミューレンに戻りたいと思っているか?」
「一切ありませんわ。あんな国」

アリーセは、即答した。

「気持ちいいくらい、潔いのいい返事だな」

陛下は苦笑いした。

「この国では、侯爵を始め、色々な方にお世話になりましたわ。そこで、分かりましたの。この国は素晴らしいと。これも、陛下あってのことですわ。ですから、私は、この国に」
「そうか、ディオン侯爵感謝するぞ。このような優秀な人材を我が国に引き込んでくれて」

陛下は侯爵に向かって軽く頭を下げた。

「いえ、陛下頭をお上げ下さい。私は、アリーセさんに助けられた身です」
「いやぁ、こんな優秀な人材を追い出す、ミューレンはどうかしてるな」

そう言って、陛下は笑った。

「これからもお世話になります」
「Sランク認定されたことは、各国に伝わる。もし、ミューレンから接触があるかもしれん。そう思って、一応、確認させてもらった」
「なるほどですわ」

ギルドは、世界各国に展開している機関である。
国ごとに、その国の本部があり、支部が展開されている。

「それと、これが賞金だ?」
「賞金?」

陛下は、アリーセの前に革の袋を置いた。

「ああ、Sランクに認定されると、その功績が認められ、国から賞金が出る決まりなんだよ」
「そうなんですわね。それでは、ありがたく頂戴しますわ」

そう言って、アリーセは革の袋を受けとった。

「では、陛下、我々はこの辺で」
「おう、引き留めて悪かったな」
「いえ、とんでもありません」

侯爵とアリーセは王宮を後にするのだった。

「あ、言い忘れてた。Sランク認定おめでとう」
「ありがとうございますわ」

アリーセは微笑んだ。

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