金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第15話 アシルとの朝食

夕食を取り終わると、そのまま部屋へと移動する。

「今日も色々ありましたわね」

アリーセは、ベッドに仰向けで寝転がると、今日の出来事を何となく思い出していた。

「あの子、鍛えれば強くなれると思うのですよね」

アリーセはアシルの才能を、既に見抜いていた。
あれは、磨けば光ると確信していたのだ。

「とりあえず、今日は早めに寝るとしましょう」

部屋の電気を消し、布団を被ると、やがて意識を手放した。

「ふぁぁぁ」

窓に朝日が差し込み、その光でアリーセは目を覚ました。

「もう、朝ですのね」

今日は、午前中のうちに、ギルド本部へと行き、ギルドカードを受け取りたいと決めている。

「まずは、朝ごはんにしましょう」

アリーセは、ワインレッドのロングコートに袖を通すと、部屋に鍵をかけて階段を降りた。

「おはようございますわ」
「あら、おはよう」

宿屋の女将が、笑顔で挨拶を返してくれた。

「朝食、頂いてもよろしいですか?」
「もちろんよ。そっちの席で待っていて」

アリーセは、朝食代をカウンターに置くと、昨日と同じく、隅の方の席に腰を下ろした。

「はい、お待たせ」

数分待つと、朝食を乗せたプレートが運ばれて来た。

「ありがとうございます」
「あれ、アリーセさん、早いですね」

そのタイミングで、アシルが起きて来た。

「ええ、おはようございますわ」
「おはようございます。あ、女将さん、僕にも朝食お願いします!」
「はいよ」

数分で、アシルの分の朝食も運ばれて来た。
今日の朝食は、卵サンドとサラダ、アイスティだった。

「「いただきます」」

対面に座ったアシルと朝食を共にする。
20分ほどで食べ終わり、食後の紅茶を飲みながら一息入れていた。

「アリーセさんは、今日、どうするんですか?」
「ギルドに行きますわ。ギルドカードを貰いにいかねばなりませんので」
「え、更新か再発行ですか?」
「あれ? 言ってませんでしたか? 私、昨日冒険者登録をしたのです」
「えぇ!!」

その言葉にアシルは、大変驚いた様子であった。

「そんなに驚く事ですの?」
「だって、アリーセさんほどの実力があって、まだ冒険者登録してないなんて、思いませんよ!」
「まぁ、いずれ分かる時が来ますわ」

そう言って、アリーセは微笑んだ。
まだ、全てを打ち明けるには、早いのかも知れない。
そんな事考えながら。

「さて、私は、ギルドに行きますが、アシルはどうしますか?」
「一緒に行ってもいいんですか?」
「アシルが良ければ、私は構いませんわよ」
「お供します!」

アリーセとアシルは、朝食のプレートを返す為、席を立った。

「「ごちそうさまでしたー」」
「お粗末さま。そこに置いておいてね」
「はい。あと、鍵をお願いしますわ」

アリーセはプレートを片付け、部屋の鍵を女将さんに渡すと、宿屋紅月を後にした。

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