金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第14話 新人冒険者

アリーセは絡まれていた少年に目を向けていた。

「大丈夫ですか?」
「は、はい! 助けて頂きありがとうございました」

その少年は、頭を下げた。

「気にしなくてよろしいですわ。私は、これで。新人さんだろうけど、自分の身くらいは守れるようには
精進してくださいな」
「あ、あの、お待ちください」

立ち去ろうとする、アリーセは呼び止められた。

「あ、貴女はいったい……?」
「ただの通りすがりって言いましたわよ」
「誤魔化さないでください! ただの通りすがりのお姉さんが何で、冒険者2人も倒せるんですか!」
「それは、私があいつらより強かった。それだけですわ」

自分から首を突っ込んだ訳だが、これ以上の面倒事はごめんだ。

「あ、すみません。自分はアシルといいます」
「アリーセですわ」
「あ、あの、僕を鍛えてはくれませんか?」
「はい??」

予想外の展開に、アリーセは戸惑ってしまった。

「僕、アリーセさんみたいな人について行きたいんです!!」
「そこまで言うなら、分かりましたわ。一人でもやっていけるくらいには鍛えて差し上げます」
「あ、ありがとうございます」

アシルは勢いよく頭を下げた。

「いいんですわ。私も一人では、何かと退屈でしたから。ところで、この後のご予定は?」
「もう、夕方になるので宿に戻ろうかと」
「どこの宿ですの?」
「紅月って所ですけど……」
「あら、私もそこに泊まろうとしていたのよ」

偶然にも、二人は同じ所に泊ろうとしていた。

「私は、明日もギルドに行く用事がありますわ。今日は宿に行きましょう」
「はい!!」

二人は、表通りに出ると、宿屋紅月へと向かって歩いた。
数分歩くと紅月の看板が見えてきた。

「着きましたわね」

アリーセは紅月の扉を開けた。

「あら、アシルくんお帰り。そちらのお嬢さんは初めてね」
「はい、そうですわ」

紅月の女将が笑顔で迎えてくれた。

「とりあえず、一週間ほど泊まりたいんですが、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ」
「ありがとうございますわ。料金の説明はお願いできますか?」
「もちろんよ。うちは一泊銀貨5枚。一週間だと金貨3枚と銀貨5枚ね。部屋もすぐに用意出来るわよ」

この国では、一泊銀貨5枚というのが、相場なのだろう。

「じゃあ、お願いしますわ」

アリーセは、コートの内ポケットから金貨4枚を取り出して、カウンターに置いた。

「ありがとう。じゃあ、お釣りねと、部屋の鍵ね」

女将からお釣りと鍵を受け取った。

「今日の晩ご飯はどうされます?」

アリーセは、後ろに立っていたアシルに声を掛けた。

「今日は、宿に併設している食堂で済ませようかと」
「じゃあ、そうしましょう」
「はい」

アリーセとアシルは食堂に入ると、隅の方の席に向かい合うような形で座り、二人とも、今日のおすすめ定食を注文した。

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