金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第12話 武器の調達

アリーセは、ギルド本部を出ると、新しい武器を調達するために、武器屋へと向かっていた。
ミューレン王国で、愛刀は没収され、そこからは素手と、自慢の金髪縦ロールで戦ってきたが、それにも限界はあるのだろうと感じていた。

「ありましたわ」

アリーセはギルマスから、大体の場所を聞いていたので、迷うことなく、剣と盾が描かれた、武器屋の看板を見つけた。

「いらっしゃい!」

分厚い扉を引いて開けると、店主と思われる男が迎えてくれた。

「嬢ちゃんみたいな、別嬪さんが来るとは珍しいな! 何か探し物があったら、声かけてくれ」
「ありがとうございますわ。店内、見て回ってもよろしいですか?」
「ああ、もちろんだ。手に取ってもらって構わないぜ」

アリーセは、店内を見て回っていた。
剣、短剣、大剣、斧、槍、盾など、多種多様な武器が並んでいた。
その中でも、アリーセは片手剣の並んでいる棚を眺めていた。

「お嬢ちゃんは、片手剣がご所望かい?」
「ええ、前に使っていたものと似たものがあればと思いまして」
「そうかい、だったらいいものが入ったんだ。そこには並べて無いがな」

そう言うと、店主は奥へと入って行き、一本の剣を手に出てきた。

「ちょいと、珍しい代物でな」

鞘がアリーセのコートと同じ、ワインレッドで、片刃の剣。
つまり、日本刀のような剣であった。
刃の部分は漆黒だ。

「確かに、珍しい剣ですわね。持って見ても?」
「もちろんだ」

店主はアリーセにその、日本刀を持たせてくれた。

「軽い……」

アリーセはその軽さと、振りやすさに感動していた。

「東の方の国の武器職人が、一本一本作っているらしい。刃こぼれとかしたら、修理が大変だが、そんなことは滅多にないぜ。切れ味も保証する」
「なら、これにしますわ」

店主がここまで進めるのだ。
間違いはないだろう。

「毎度あり!」
「おいくらですか?」
「金貨三枚と、言いたいところだが、金貨二枚にしとくぜ」
「ありがとうございますわ」

アリーセは、コートの内ポケットから金貨を二枚取り出すと、店主に渡した。

「こちらこそ、贔屓にしてくれよ。俺は、ここの店主のイルクだ」

イルクは右手を差し出した。

「アリーセ・ベートですわ」

その手を、取ると握手を交わした。

「アリーセ・ベート、どっかで聞いた名前だな」
「ほら、よくある名前ですから。それより、この辺でいい宿屋は知りませんか?」

昨日は侯爵家に泊ったため、まだこの王都の土地勘が無い。

「なんだ、嬢ちゃんよそから来たのか?」
「はい、つい昨日着きました」
「そうかそうか、なら、店を出て右に真っすぐ行った、左手側に紅月って言う看板がある。そこが飯も美味いし、部屋も綺麗だぜ」
「ありがとうございますわ。行ってみます」
「はいよー。気を付けてなって、心配いらないか。嬢ちゃん相当な手練れだろ?」
「さて、どうでしょうか?」

アリーセは微笑みを浮かべると、買った剣をベルトに挿し、武器屋を後にした。

「右に曲がって左、ですわね」

武器屋の主人、イルクに教えられた宿屋に向かって歩き出した。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品