悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
76話 舞い散る閃光センエース。
76話 舞い散る閃光センエース。
「俺は究極超神の序列一位。神界の深層を統べる暴君にして、運命を調律する神威の桜華。
――舞い散る閃光センエース」
センの名乗りを受けて、
オメガは、歯噛みする。
悔しさがにじむ。
「ヒーローか……」
声がかすれる。
のどが縮む。
「……ヒーローねぇ……」
そうつぶやいた直後、
ギリギリと軋む奥歯を解放するオメガ。
目を閉じて、
スゥ、と息を吸ってから、
目を開けると、
あらためて、センを見据えて、
「……行くぞ、センエース。殺してやる」
すべての力を解放するオメガ。
充満していく。
命の全部を沸騰させて、
センエースを殺すことしか考えていない獣になる。
オメガの、まるで土砂崩れのような、荒々しい猛攻を、
センは、涼やかに受け流していく。
「クトゥルフ・オメガバスティオン。今の俺には、お前の強さが、正しく理解できる。お前は強い。本当に強い」
「偉そうに、俺を批評するんじゃねぇ! まだ、完全に決まったわけじゃねぇ! 俺の想いは、まだ死んでねぇ!」
「ああ。だから殺してやる。全部、終わらせてやるよ。そして、背負ってやる」
「図に乗るな、へちゃむくれぇえええ!!」
加速していく。
狂気が舞い散る。
止まらない螺旋。
命が発火する。
闘いの中で、
オメガは気づく。
(ああ……ダメだ……もう、勝てない……)
クラっとした。
センエースが積み重ねてきたものを目の当たりにして、
普通に、クラクラと眩暈がする。
(差が開き続ける……俺の弱さが……露呈する……)
そんな自虐に包まれるオメガに、
「何度も言わすな。お前は強い。お前は絶対に弱くねぇ」
「……勝手に心を読むなよ」
「心じゃない。表情を読んだ」
「……」
「俺は、お前の強さに敬意を表す。お前は凄いよ」
「うるせぇ、ボケ……上からモノを言ってんじゃねぇ」
そう吐き捨ててから、
オメガは、自分の中心に覚悟をぶち込んで、
「これで終わっていい……」
最後の最後の儀式に入る。
「こいつを殺したら終わりでいい。だから……開け。俺の全部……っ」
覚悟を世界に刻み込んだ直後、
オメガの全身を、真っ赤なオーラが包み込む。
ごうごうと、命を燃料にして、
紅蓮の炎が燃え上がる。
その様を見て、センは、
「綺麗な絶死だ。お前は美しい」
「気色悪い言い方するんじゃねぇ。つぅか不快だ。みっともなく泥臭く無様で惨めってのが俺のアイデンティティ。見栄えだけの言葉で、俺を穢すな」
そんなオメガの言葉に対し、
センは、鼻で笑うようにして、
「……俺がお前にどういう感想を抱くかは俺の自由だ。お前の指図は受けねぇよ」
「なら、ボコボコにしていうことを聞かせてやらぁ」
「できるのか?」
「できるさ。俺の絶死をナメるなよ、センエース。俺の全部を解放したんだ。そんじょそこらの絶死とはワケが違うぞ」
その言葉を最後に、オメガは、
ギュンと、加速した。
今のセンの目でもとらえきれなかった速度。
気づいた時には、オメガの拳が、
「うらぁあああああっっ!!」
センの顔面を捉えていた。
重たい一撃を受けて、
センの顔面がへしゃげる。
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