悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

76話 舞い散る閃光センエース。


 76話 舞い散る閃光センエース。

「俺は究極超神の序列一位。神界の深層を統べる暴君にして、運命を調律する神威の桜華。
 ――舞い散る閃光センエース」

 センの名乗りを受けて、
 オメガは、歯噛みする。
 悔しさがにじむ。

「ヒーローか……」

 声がかすれる。
 のどが縮む。

「……ヒーローねぇ……」

 そうつぶやいた直後、
 ギリギリと軋む奥歯を解放するオメガ。

 目を閉じて、
 スゥ、と息を吸ってから、
 目を開けると、
 あらためて、センを見据えて、

「……行くぞ、センエース。殺してやる」

 すべての力を解放するオメガ。
 充満していく。
 命の全部を沸騰させて、
 センエースを殺すことしか考えていない獣になる。

 オメガの、まるで土砂崩れのような、荒々しい猛攻を、
 センは、涼やかに受け流していく。

「クトゥルフ・オメガバスティオン。今の俺には、お前の強さが、正しく理解できる。お前は強い。本当に強い」

「偉そうに、俺を批評するんじゃねぇ! まだ、完全に決まったわけじゃねぇ! 俺の想いは、まだ死んでねぇ!」

「ああ。だから殺してやる。全部、終わらせてやるよ。そして、背負ってやる」

「図に乗るな、へちゃむくれぇえええ!!」

 加速していく。
 狂気が舞い散る。

 止まらない螺旋。
 命が発火する。

 闘いの中で、
 オメガは気づく。

(ああ……ダメだ……もう、勝てない……)

 クラっとした。
 センエースが積み重ねてきたものを目の当たりにして、
 普通に、クラクラと眩暈がする。

(差が開き続ける……俺の弱さが……露呈する……)

 そんな自虐に包まれるオメガに、

「何度も言わすな。お前は強い。お前は絶対に弱くねぇ」

「……勝手に心を読むなよ」

「心じゃない。表情を読んだ」

「……」

「俺は、お前の強さに敬意を表す。お前は凄いよ」

「うるせぇ、ボケ……上からモノを言ってんじゃねぇ」

 そう吐き捨ててから、
 オメガは、自分の中心に覚悟をぶち込んで、


「これで終わっていい……」


 最後の最後の儀式に入る。

「こいつを殺したら終わりでいい。だから……開け。俺の全部……っ」

 覚悟を世界に刻み込んだ直後、
 オメガの全身を、真っ赤なオーラが包み込む。

 ごうごうと、命を燃料にして、
 紅蓮の炎が燃え上がる。

 その様を見て、センは、

「綺麗な絶死だ。お前は美しい」

「気色悪い言い方するんじゃねぇ。つぅか不快だ。みっともなく泥臭く無様で惨めってのが俺のアイデンティティ。見栄えだけの言葉で、俺を穢すな」

 そんなオメガの言葉に対し、
 センは、鼻で笑うようにして、

「……俺がお前にどういう感想を抱くかは俺の自由だ。お前の指図は受けねぇよ」

「なら、ボコボコにしていうことを聞かせてやらぁ」

「できるのか?」

「できるさ。俺の絶死をナメるなよ、センエース。俺の全部を解放したんだ。そんじょそこらの絶死とはワケが違うぞ」

 その言葉を最後に、オメガは、
 ギュンと、加速した。

 今のセンの目でもとらえきれなかった速度。
 気づいた時には、オメガの拳が、


「うらぁあああああっっ!!」


 センの顔面を捉えていた。
 重たい一撃を受けて、
 センの顔面がへしゃげる。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品