悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
69話 ロック。
69話 ロック。
「俺の話を聞いて驚けよ、クトゥルフ・オメガバスティオン。俺は、今、普通に、お前を殺す気でいる。どうだ、すげぇだろ? 正直、自分に対するドン引きが止まらねぇ。俺、やべぇよ。マジでイっちゃってるよ。もう、怖ぇよ」
「お前ごときが、俺を殺せると、本気で思うか?」
「できるかどうかはどうでもいい。そんな数学的な話は、さして重要じゃねぇ。俺にとって大事なのは、お前に対する殺気の練度が、秒を飲み込んで膨れ上がっているという現実だけ。お前は強いし、怖いが、しかし、数字通りの怖さでしかない。対して、俺はどうだ? 今の俺のキ〇ガイぶりは、数字を遥かに凌駕しているだろう? お前に、俺の恐怖が超えられるか? 俺のキチ○イに勝てるやつが、この世にいるか? いや、いないね! サイコパス選手権で、俺に勝てるヤツは、この世に存在しない!」
「……お前は量産型汎用一般人じゃなかったのか?」
「そんな小ボケは忘れた! つぅか、一般人は自分のことを一般人とは言わねぇよ! 単純な話、こんなヤベェヤツが一般人であってたまるか! 俺は異常だ! 知ってるよ! ばかやろう!!」
センはさらに加速する。
腕をなくそうが、どうしようが関係なく、
とにかく本気でオメガを殺そうと時空を駆け抜ける。
その動きが『完全に見えているオメガ』は、
センの左腕にからみつき、
グっと腰を落とした。
「がぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!」
ブチィイイッ!
と、腕が引きちぎられる音だけが、センの脳内を駆け抜ける。
『両腕をなくす』という絶望を前にして、
センは、
しかし、ヘラヘラと笑ってみせる。
「ぐっ……ぅ……はは……お前みたいな強敵と戦っているんだ……腕をなくすぐらいはデフォルトだ……もう、慣れてる、慣れてる、このぐらい、ふへへ」
これまでも、何度か腕をなくしてきた。
両足を失ったこともあるし、心臓を貫かれたこともあるし、頭を吹っ飛ばされたこともある。
全部経験してきた。
痛みも苦しみも、
飽きるほど、全部、体験し尽くしてきた。
だから、この程度では折れることができない。
この程度は、もはや、ヌルいとすら感じる。
「オメガさんよぉ、本気で俺を折る気があるのかぁあ?! 一手一手があまりにヌルすぎて、もはや、アクビがスタンバイしているんだが?! どうするぅ?!」
意味のない言葉でケムにまく。
『小粋なファントムトークをはさむ気概』すら見せていくストロングスタイル。
『余裕があるから』ではない。
これも、一つの覚悟の証。
センエースは止まらない。
腕をへし折られようが、
局部を引っこ抜かれようが、
足を砕かれようが、
皮膚を引っぺがされようが、
センは止まらない。
『オメガに対する殺気』を、一生、上昇させ続けて、
ひたすらに、このイカれた運命と向き合い続ける。
そうやって紡いだ修羅の華。
腸をグチャグチャにされて、
心臓も貫かれて、
臓器の全部が木っ端みじんになって、
ついには、
――残ったのが、首から上だけになった。
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