悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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10話 非生産的な空回りからは、いい加減卒業しよう。


 10話 非生産的な空回りからは、いい加減卒業しよう。

「……よく見ろ」

 そこで、センは、トコの目の前に、赤子を突き出して、

「さっきのガキと同じ顔だろう?」

 そう言われて、トコは、赤ん坊の顔をよく見て見る。
 へちゃむくれで、可愛げない顔をしている。

 確かに、先ほどの赤子と似ている、と思わなくもなかったが、
 『初めて見る赤子の顔を正確に見分ける能力は有していない』し、
 『状況が状況であったため、先ほど殺された赤子の顔をシッカリと覚えてはいなかった』ので、
 現状、ただただ、困惑した顔になるばかりのトコに、

「さっきは、お前に、『ガキを殺した』という幻影を見せただけだ。つぅか、このガキそのものが幻影。――いつから、俺がガキを殺したと錯覚していた? ってやつだな……いや、ちょっと違うか? ゲットバ〇カーズの邪眼の方が近いか……まあ、別に、どっちでもいいが」

 などと言いつつ、手の中にある赤子を消し去るセン。

 一度、短めの深呼吸を挟んでから、
 涙を抑え込んだ顔で、トコを睨み、

「やり方を間違えた。これは違う。これじゃ、ただのいやがらせだ。そうじゃない……そうじゃないんだ……」

「……なにを……言っとんの? もう、ほんま……ワケわからへん……」

「だろうな。けど、ちょっと待て。ちゃんとするから……もう二度と、迷わないために……もう二度と、間違わないために……」

 そう言いながら、心の中で、

(佐田倉の爪をはいだ時と同じだ……俺は何も成長していない……狂って、間違って、自己嫌悪に陥って……もういい、その無駄なサイクル……非生産的な空回りは飽き飽きだ……)

 自分を叱咤する。
 惨めで、無様で、情けない自分をボコボコにして、

「お前に呪いをかける」

 そう宣言してから、
 センは、トコに手を向けて、

「アウターゴッド召喚の呪い。卒業するまでに、お前が死ななければ、お前の体を触媒として、アウターゴッドが召喚される」

「……な……」

「ただのハッタリではない。これは事実。その証拠をてめぇの体に刻み込む」

 そう言いながら、トコに向けている手に魔力を集中させる。

 すると、トコの体が燃えるように熱くなった。

「あ、あああああっ!」

 燃えるような熱さは数秒のこと。
 その後、彼女の体に刻まれたのは、
 禍々しい呪印。

 彼女の顔面の右半分を覆う、
 おどろおどろしいタトゥー。

「お前の顔面に、最強の神字を刻ませてもらった。鏡をくれてやるから、確認しろよ」

 そう言いながら、手の中に具現化させた手鏡をトコにわたすセン。

 自分の顔を確認したトコは、

「……え……ぇえ……え、これ……え……」

 神字の解読ができるわけではないので、
 本当に、自分が呪われているのか、
 その辺は分からなかったが、
 しかし、自分の顔面に刻まれた呪が、
 すさまじい魔力を放っていることだけは理解できたため、

「ほんまに……あたしが死なんと、将来、アウターゴッドが……」

「ああ。間違いなく召喚される。この世界をアウターゴッドに壊されたくなかったら自殺しろ」


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