悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

5話 ネクストミッション、歪んだ形の『原初の愛』を紡げ。


 5話 ネクストミッション、歪んだ形の『原初の愛』を紡げ。

 晒した無様の具合が、あまりにもひどすぎて、
 センは、違う意味で泣きたくなってしまった。

 そんな悲惨な状態のセンに、
 ヨグシャドーは、たんたんと、

(学習しない男だな)

 静かに、辛辣な感想を述べた。

 その冷静すぎる言葉に、全力でイラっとしたセンは、
 『どうにかして、ヨグシャドーをどつきまわし、ひきずりまわして、ズッタズタのボッコボコにしてやりたい』と願ったが、
 しかし、武器の中に眠る概念を相手に、
 それを為すすべはない、ということは理解しているので、

(ぐっ……ぐぅ……なにをどうしたいんだよ、てめぇはぁぁ……っ)

 奥歯をかみしめながら、
 ヨグシャドーに答えをもとめる。

 すると、ヨグシャドーは、
 意味深な一拍を置いてから、
 とうとうと、



(――あの女共から憎まれろ)



 などと、奇天烈なことをいいだした。
 センは、その言葉の意味を、自力で理解しようと、数秒、セリフの咀嚼にいそしんだものの、けっきょく、何がなんだか分からなくて、

(……あぁ?)

 と、まっすぐな疑問をぶつけてしまう。

 ヨグシャドーは、
 あくまでも冷静な対応のまま、たんたんと、

(貴様は、原初の愛を拒絶した。あの女どもとツガイになることを否定した。20年、夫婦として生活しながら、貴様は、結局、あの女どもに一度も手を出さなかった。私の本体が召喚されてしまうという縛りがあった上でだ。私もアホではない。貴様は絶対に揺るがない。それがハッキリと分かった。だから、せめて、『憎悪(ぞうお)』で、深き関係を結べ。それでも、原初の愛は成立する。歪んだ形にはなるが、しかし、それもまた一つの象(かたち)となろう)

(……お前がたまにいう、その『原初の愛』ってのが、なんなのか、さっぱり分からんから、どう答えたらいいか分からんが……とりあえず、それが成立しないとどうなるか、その辺を教えてくれるか?)

(オメガを超えられない。より正確に言うのであれば……ルナが貴様を認めない)

(……いきなり、新キャラぶっこんでくんなよ。誰だよ、ルナって……人? それとも神?)

(そんなことはどうだっていい。とにかく、彼女たちからの憎悪を稼げ。徹底的に嫌われろ。そうすれば……貴様は、彼女たちを完璧に救える。より正確に言うのであれば、彼女たちからの憎悪がないのであれば、貴様は絶対に、彼女たちを救えない)

(……その発言が嘘じゃない証拠は? 正直な話、俺は、もう、お前を信用していない。どうせ、あとから『あれは嘘だ』って言ってくると確信している)

(疑うのは自由だが、これは事実だ。ためしてみるといい。可能性の一端を感じるはずだ。本当に、心から彼女たちを――この世界の全てを救いたいと願うのであれば、彼女たちの憎悪を受け止めろ。その覚悟がないのであれば、もう、死ね。その程度の気概もないカスに世界は救えない)

(……クソ嘘つき野郎が……無駄に煽りやがって……)

 ギリっと奥歯をかみしめてから、

(……まあいいか……憎まれるだけでいいなら、あいつらとヤルよりは、全然マシだ)

「悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く