悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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4話 もしもしもしもしぃ?!


 4話 もしもしもしもしぃ?!

「な、なんでだ……どうして……」

 この銀の鍵が不良品だったのかと思い、
 ほかの銀の鍵を握りしめて、
 『俺はまだ、がんばれる!』と宣言してみたが、
 結果は同じで、うんともすんとも。

「が、頑張れるっつってんだろ! おい! 折れてねぇよ! まだ、俺はやるんだよ! もしもしぃ! もしもしもしもしぃ?! もぉし、もぉぉぉおおおし!!」

 全力で、叫ぶが、何も起こらない。
 しかたなく、センは、図虚空の中にいるヨグシャドーにクレームのテレパシーを繋ぐ。

(おい、ごら、返事しろ、虹色ハゲタコぉおお! どうなってんだ! 宣言してんのに、過去にとべねぇぞ。どういうつもりだ?!)

(どういうつもりもクソもない。ただのいやがらせに決まっているだろう。まったく、何を当たり前のことを)

 やれやれとでも言いたげな口調に、
 センは心底イラっとする。

(ふ……ふざけんな、カスがぁ……)

 そう吐き捨てている途中で、
 センは、K5の奇異な視線が自分に刺さっていることに気づいた。

「うっ……く……」

 あまりに気まずすぎるので、
 とりあえず、この場から逃げ出そうと、
 瞬間移動をしようとしたのだけれど、

(っ……逃げられねぇ……次元ロック……そ、それも、めちゃくちゃハイクオリティの……こ、この野郎……)

 怒りが有頂天に達したセンは、
 奥歯にギリギリと圧力をかけつつ、
 ヨグシャドーに対して、

(おい、マジで、これはシャレにならねぇぞ……)

(当然だ。シャレでこんなことをするほど、私はヒマではない)

(……どういうつもりだ……マジで……)



(――己の無様さと向き合え。醜さを愛せ。貴様の中に、消えない覚悟を刻み込め)



「……」

(定期的に、鬱になって、ウダウダ、うじうじ、メソメソするのは、いい加減やめろ。ヒーローにふさわしくない)

(こんだけ苦しんでいるのに……一人で泣き言を言うのすら許されないのかよ……)

(そうだ。許されない。貴様には、私も可能性を感じている。だから、無様な姿を見ると虫唾が走る。私の期待を裏切るな、センエース)

(お前の勝手な期待なんか知るか、ボケ)

 心の中で、ヨグシャドーと口喧嘩をしていると、
 そこで、トコが、

「……そのカギ……なんか、魔力を纏ってない? それも、ただごとやない魔力を……」

 ハッキリと分かるわけではないが、
 感じとるぐらいはできるようで、

「……あんた……何者? どういう人間?」

 と、まっすぐな疑問符を投げかけてきた。

「……知らん。気にするな! 俺ごときのことなんか! 記憶の中から全力で消去しろ! 俺を憐れに思うなら、せめて、そのぐらいのことはしてくれ! 後生だから!」

 不貞腐れたように、そう言い捨てて、
 センは、ダッシュでその場から逃げようとする。
 鍛え上げられたオメガレベルが、センの肉体を加速させる。

 ――しかし、逃亡しようと駆け出した直後、

「あだっ!」

 見えない壁に阻まれて、
 センは、その場で、みっともなくすっころんだ。

 その晒した無様の具合が、あまりにもひどすぎて、
 センは、違う意味で泣きたくなってしまった。

 そんな悲惨な状態のセンに、
 ヨグシャドーは、たんたんと、

(学習しない男だな)

 静かに、辛辣な感想を述べた。

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