悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
1話 ぶっ壊れて、ゆがんで、くさって。
1話 ぶっ壊れて、ゆがんで、くさって。
1000年を超えた段階で、センは完全に壊れていた。
「あはははははははははははははははははははははは、あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは、ぶへははははははははははははははははははははははははははははははは、ねははははははははははははは、ひへへへ、はは、ほほ、ひゃひゃひゃ」
ラリった目で笑いながら、
ロイガーをぶっ殺すセンを見て、
K5の面々は、普通にビビり散らかしていた。
「まーだかーてなーいのはわーかってるーからいーどまないー♪」
謎の歌を口ずさみながら、
ふらふらしながら、
それでも、ロイガーだけはきっちりと殺しきるセン。
覚醒ロイガーを、どうにか突破したところで、
「しんどぉおおおおおおおおおいっ! いい加減にしろぉ! 死ねぇえええええええええええええええええええええええ! ああああああああああああああ! ぎゃあああああああああああ!! があああああああああああ、ああああああああっっ!!」
と、天に向かって咆哮。
どう見ても完全にヤバい人です。
ほんとうにありがとうございました。
「ぁ……あの、えっと……その……た、助けてくれて、ありがとう……ていうか、あの……大丈夫か、あんた」
勇気ある美少女薬宮トコが、
センに、そう問いかける。
彼女の勇気に対し、センは、
「あはーはーはーはーはーはー、ええへへへへへ、ぎへへへっへ」
と、壊れた笑顔で、プリティでクールなバッドコミュニケーションをお届け。
もう、ほんと、完全に壊れ切っている。
「みーんな死ねー、みーんな死ねー、いっそのこーと、みんな死ねー」
という、謎の歌をうたいながら、
センは、その場から、瞬間移動で消え去った。
「完全に狂っていたにゃぁ。あんなヤバい人、はじめて見たにゃぁ」
「……流石に、さっきのヤツも、あんたにだけは言われたないと思うで」
★
狂い続けて、狂い続けて、
その果てに、センは気づいた。
「……発狂するのも……エネルギーを使うんだな……」
2000年を超えた段階で、
センは狂うのをやめた。
正気に戻ったというより、
狂いつかれて発狂することもできなくなった、
といった感じ。
現状が、マイナス状態なのか、それとも、フラットな状態なのか、
それすら分からないまま、うつら、うつらと、日々を重ねていく。
まるで、夢の中。
現実感がどんどん希薄になっていく。
毎日があやふやで、
一秒一秒が不透明な毎日。
そんな毎日の中でも、
センは、ちゃんと積み重ねていた。
化け物を殺し、アイテムを探す。
その作業をかかしたことはない。
一度も投げ出さずに、毎日を、丁寧に積み重ねた。
ぶっ壊れて、ゆがんで、腐って、
それでも、センは歩みを止めなかった。
「……降りてやらねぇ……」
何度でも繰り返した。
折れそうになるたびに、
何度でも、何度でも、
「絶対に……諦めてやらねぇ……」
歯を食いしばって耐えた。
泣いて、喚いて、耐え忍んだ。
「……ヒーロー見参……」
覚悟で自分を縛り付ける。
「……ヒーロー見参……」
折れてしまわないように、
「ヒーロー見参っ!」
とびっきりの嘘で、必死になって、自分を鼓舞する。
でも、結果には届かない。
差は縮まっているが、
その歩みはひどく鈍い。
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