悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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107話 ヘロヘロ。


 107話 ヘロヘロ。

 全身がしびれて動けなくなっている128体のヨグ。
 サポートはそれだけでは止まらない。
 他にも無数に存在する旧き主人公たちが、
 それぞれの最強を遠慮なく投入して、
 ヨグの動きを殺していく。

「オッケェエエエエ! それじゃあ、死のうかぁああああ!! パーフェクト・トゥルーヒーロー♪ ウェポンズフリー。コード、マキシマム♪」

 覚悟を叫んで、熱量を底上げする。
 リミットブレイクの輝きが膨れ上がる。

「ぜひ、死んでほしいねっ♪ ブラストオフッッ♪」

 エネルギーが一点に収束して、
 極限まで高められた『暴力』が解放される。

 絶望を食い殺そうとする希望の咆哮。
 豪速を更に加速させて、次元の断層を擦り減らす。
 限界を超えた加速が世界をわななかせる。
 空間を覆い尽くすほどの巨大で凶悪なエネルギーが収束する。

 ――その輝きは、
 容赦なく、ヨグの全てに降り注いだ。

 魂が焦げる。
 命が磨り減る。

 そんな地獄の底で、
 ヨグは、

「……美しい」

 笑っていた。
 余裕の笑みではない。
 ただ、嬉しくて笑っている。

「見事だ。よくぞ、ここまで辿りついた。貴様らなら、私を殺せる。さあ、もう少しだ……頑張れ」

 エールを送ってくるヨグに、
 マザコン熾天使は、

「応援はいらねぇ。欲しいのは可能性だけだ。というわけで、さっさと死んでくれぇ! 頼むからぁ! もう、けっこう限界を超えてんだよぉお!」

 死力を尽くして、
 ヨグと向き合う。

 最初から全力投入を続けた結果、すでに満身創痍で、
 エネルギーは底をつきかけている。

 それは、マザコン熾天使だけではなく、他の主人公たちもそう。
 最初から飛ばし過ぎて、すでにヘロヘロ。

 マラソンで例えると、彼らは、フルマラソンのスタート直後に、800メートル走の世界記録を塗り替えた、みたいな感じ。

 ペース配分もクソもない全力特攻の結果、
 全員が限界まで疲弊しているというアホな状況。

 ――しかし、そのぐらいの無茶をしなければ届かなかったというのも事実。

 このイカれた地獄の底で、
 彼らは必死にもがき、あがき、苦しみ、闘い続ける。

 簡単には死んでくれなかった。
 虚空の王の生命力はけた違いに膨大。

「くっそぉお! やっぱ、強いぃぃっ!」

「頑張れって♪ これ、行けなくもない♪ 押し切れる♪ 僕ちゃん以外が血反吐を吐けば♪」

「お前も血反吐を吐かんかい!!」

 永遠に続くように思えた神々の決戦。

 その地獄は、

「散弾・殺神覇龍拳!!」

 煽り厨の『全体浮かせ技』がトリガーとなって終わる。

 128体のヨグが、宙を彷徨う。

 最後のチャンスを前に、マザコン熾天使が、最後の号令をかける。

「いまだぁああああ! 全員で、撃つぞぉお! あとのことは考えるな! 全部、こめろぉおおお!」

 その場にいる全員が、
 残っているオーラと魔力を両手にこめる。

「頼むから、死んでくれぇええ!」

 マザコン熾天使の願いがまたたく。
 すべての主人公たちが未来を望みながら、
 128体のヨグをロックオンする。

 そして、放たれる。
 異次元の咆哮。



「「「「「「「~「「「「「「「「「「異次元砲ぉおおおおおおおお!!!」」」」」」」~」」」」」」」」」」


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