悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

95話 重なり合っていく。


 95話 重なり合っていく。

(この中で誰が一番頭悪いかという点に関しては、もちろん、お前がブッチギリのワーストやけど、この中で、『誰を残すべきか』という議論では、お前がブッチギリのナンバーワンなんや。ワシらの代わりは、どうにか用意できそうやけど、お前の代わりは、どこにもおらん)

(……いや、お前の代わりは、絶対に、どこにもいねぇ)

 そんなセンの言葉に、トウシは、一度、微笑んでから、

(無駄な会話で30秒も使ってもうた。絶死がもったいない。行くぞ。準備せぇ)

(……偽りなく応えろ、トウシ。……本当に、お前は、オリジナルの器になるんだな? 消えるのではなく器に――)

(うっさい、何度も言わすな。ワシをナメんな)

(……)

 そこで、センは、一度、ギュっと奥歯をかみしめてから目を閉じた。
 そのまま、センキーの中に溶けていく。
 続けて、トウシも目を閉じて、
 センキーの中へと自分を投じる。

 純粋に重なり合って、
 意識が一つになっていく。

 中心にいるのはセンエース。
 土台はいつだってセンエース。
 そうでなければ届かない世界がある。

 才能的に上質なのは確実にトウシとソンキーで、
 センエースは、間違いなく凡庸。
 けど、最大の器はセンエースでないといけない。
 そうでなければ、世界が認めない。

 重なり合っていく三つの魂魄。
 これまでのように、歪な形ではなく、
 一つ一つの輪郭が、正しく重なり合っていく。

 ――そんな、『センキー』に対し、
 ヨグは、


「……気配が変わったな……」


 少しだけ手を止めて距離をとった。
 『見て見たい』と思ったから。
 これは、美術品を愛でる感覚に近い。
 あるいは、朝焼けの空を黙って見つめてしまう感覚。

 『どうしても目に焼き付けたい』と願ってしまう情動。

 そんなヨグの視線の先で、
 センキーは、

「今、俺の中心は、バカみたいに輝いている」

 ゆっくりと、言葉を並べていく。

「まだ、上がる……恐ろしいほどのシンクロ率……今の俺を理解しきれない。俺は誰だ……俺は……」

 ――全ての条件が一致した。
 よって、開かれる。

 センエースと、
 ソンキーと、
 トウシの、

 すべてが――





「「「プライマルッッ! プラチナァァァッッ! スペシャルッッ!!」」」





 直後、
 カッと、強く光を放つ。
 極彩色で、虹色だった。
 派手な『色』で世界が染められる。

 世界の全てを覆い尽さんばかりの輝きは、
 いったん、飲み込むように、全てを包み込んでから、

 ふいに、
 艶やかに、
 パっと、舞うように散った。

 シンと揺れて、
 そよと、風が吹いた。

 高次の静寂。
 穏やかに、
 気高く……



「……はぁ……」



 ――光が溶けた時、
 そこには、
 まるで命の輪廻を表すような『太陽をも喰らい尽くしてしまいそうな後光』を背負った闘神がいた。

「――はっ、はっ、はっ、はっ、はっ」

 究極の天才田中トウシは、

 自身を調節するため、プラチナスペシャル『シャットアウト・ゾーン』を乱用し、自身に内包された『三重の魂魄』に号令をかける。

 深淵の集中。
 自分の核へ、自分の全てを集めていく。
 これでもかと、自分の中へと、深く深く潜っていく。

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