悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

89話 バグ技の代償。


 89話 バグ技の代償。

(まったく別系統のゴミ技……こんなもん、なんぼ改造しても意味ない……コイ〇ングとギャ〇ドスぐらいの関係性やったら、どうにかできるかもしれんけど、コ〇キングとミ〇ウぐらい違うから、どうしようもない……)

 だが、その時、
 トウシに電流走る。

(……この二つ、方向性は、当然、全然違うけど、管理データ上のルーチンでは同じ値が使われとる……鬼ラッキィイイ……これなら、領域を超えたコピーでバグらせれば……)

 チートを乱舞して、
 どうにか、究極超神化プラチナムを究極超神化7に変えようとする無茶なトウシ。

 その作業の中で、
 トウシは、

(……コスモゾーンは堅牢で堅実……バグは存在せん……けど、理論上、完璧なプログラムなんてものは、この世に存在せん。使われとる言語がパイソンやろうが神字やろうが、そんなもんは関係なく、コードとして組まれてしまった以上、所詮は、不完全な記号の集合体に成り下がる……それこそ、まさに、神様のパラドックス……)

 悪意だけでプログラムを改竄していく。
 なかなかしんどい作業だったが、

(ソートの領域にアクセス……入れ替えの処理にバグをぶちこむ……管理データを部分的に共通にして……)

 コスモゾーンをバグらせようとした結果、

(……ん?)

 ゾワっと、全身を寒気が襲った。

(これは……なんや……っ)

 ビビっていると、
 『センキーの中にいるトウシ』の『目の前』に、
 奇妙な虫が湧いて出てきた。
 薄羽の生えた、中型犬サイズの、大きなサソリみたいな虫。


(え、なにこれ……)


 どんな時でも豪速で回転するトウシの頭脳が、
 即座に、『予測』をうちたてる。

(まさか……ワシが『コスモゾーンに仕込んだバグ』が『具現化』した?)

 『ワケの分からない思考』だと自分でも理解しているのだが、
 しかし、そうとしか思えない圧力を感じた。

 その『虫』は、

「ギギ」

 トウシをロックオンすると、
 そのまま、タメも間もなく襲い掛かってきて、
 トウシの腕にくらいついた。

「ぐぁあああっ!」


 ふりはらおうとするが、
 強靭な牙に食い込まれて振り払えない。

「ぐっ……くそ!」

 残っている腕でどうにか殴りつけるが、
 腕が痛むだけで、虫はビクともしない。

 ――と、そこで、



「――閃拳っっ!!」



 突如、目の前に具現化されたセンが、
 トウシの腕にかみついた虫を、
 正拳突きで吹き飛ばす。

 一撃で、跡形もなく吹き飛んだ虫。

 脅威は去ったが、しかし、

「ぐ……ぅ……」

 トウシの苦しみは消えない。
 真っ青な顔で、ゼーゼーいいながら、

「ぁ、あかん……おそらく、毒をブチこまれた……マジであかん……死ぬ」

「ふざけんな。お前がいないと、ヨグに勝てないだろうが。生きろ。死ぬのはヨグが死んだあとにするんだ。いいな」

「……あ……やば……動けな……目も……かすんで……」

 死にかけているトウシを見て、
 センは、

「……ちっ……くそが」

 忌々しそうに吐き捨ててから、
 トウシの腕をつかんで、

「きっしょいなぁ……くそがぁ」

 そう言ってから、
 『バグに噛まれた箇所』に口をあてて、
 毒を吸い出そうとする。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品