悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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56話 ノベライズ。


 56話 ノベライズ。

「まさか、お前は、俺の事を、『お前の妄想が具現化した姿』だと捉えているのか?」

「……違うのですか?」

「調子に乗るな。お前は『俺という概念』を、コスモゾーンから受信し、それを『文章に起こした』だけだ」

「……わ、私は、あなたを創造した……というわけではなく、最初から存在していたあなたのデータをノベライズしただけ……だと?」

「細かく言えば、お前の役割は、『それだけ』ではないがな。お前が、俺という概念の製作陣の一人であることは事実。かといって、創造主ヅラされるのはどうかと思うがな。無理に例えるなら、お前は、俺にとって、ヒイ爺さんの元カノみたいなものだな。このたとえは、かなり強引で、実際のところ、そこまで的を射ていないが、しかし、ニュアンスだけは、それなりに整っていると言えなくもない」

「……」

「まあ、お前と俺の関係など、どうでもいいがな。俺にとって、なんの価値もない」

 そう言うと、
 ソンキーは、
 パチンと軽やかに指をならした。
 すると、ソンキーの立っている場所に、
 ちょうど、マンホールぐらいサイズの、
 真っ黒なジオメトリが出現し、

「じゃあな」

 その言葉を最後に、
 ソンキーは、その黒いジオメトリの中へと沈んでいった。

 ソンキーの退場を見送った美少女たちは、
 しばらく呆けていたが、
 一分が経つか経たないか、というタイミングで、
 トコが、

「えっと……どないしよ?」

 と、皆に問いかけたことで、
 それぞれが、いっせいに、口をひらきだす。

「とりあえず、ソンキーがトウシさんの味方になってくれるのであれば、今後、どんな化け物が現れても大丈夫だと思いますよ。ソンキーの強さは宇宙一なので」

「宇宙最強が味方か。それがホンマやったら非常にありがたい話やけど……あのソンキーとかいうやつ、自己紹介の時、自分は二番目やて言うてなかった?」

「私の作品では……ああ、いえ……私が受信した作品では、ソンキーより強い者は存在しませんでしたよ。自分が強くなることにしか興味のない、ぶっちぎりで最強の闘神。ソンキー・ウルギ・アース。彼の強さは間違いなく、修羅の最果て。……ただ……そう……そんな彼の最大の難敵である裏ボスが……存在する……という設定ではあるのですが……まだ、登場はさせていなかった……していなかったので……なんとも……」

 そこで、茶柱が、
 枝毛を伸ばしながら、

「設定というか、そういう事実を受信したってことだと思うにゃぁ」

 続けて、紅院が、

「ということは、存在するということになるわね。ロイガーを瞬殺してみせたソンキーよりも上位の存在が……まったくいい加減にしてほしいわ……あたしたちは、まったく強くなっていないのに、化け物の方ばっかり、ドラゴ〇ボールみたいにインフレしまくって……」

 不安そうな顔をする彼女たちに、
 黒木は、

「正直な話……というか、受信感覚的な話……その裏ボスが『田中トウシと合体したソンキー』以上だとは……正直、思えません。裏ボスは、ソンキー一人でも、どうにか立ち向かえるレベルの存在で、いずれは、ソンキーが、その化け物を乗り越える……というプロットだったので」

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