悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
45話 おめぇの強さはよぉく分かった。ワシはもうやめとく。
45話 おめぇの強さはよぉく分かった。ワシはもうやめとく。
「無傷ではない。一応、ダメージは受けたさ。この地の龍脈は、なかなかのエネルギー量だ。GOOであれば、S級であったとしても、十分に殺しきれるだけの力をもっている」
所詮は人間でしかないトウシが張った領域のペナルティごときで死ぬなどありえない。
アウターゴッドは、格が違う。
「田中トウシ。貴様は、間違いなく優れた存在だ。認めよう。稀代の天才だ。貴様以上のスペックを持つ人間は、存在しない。過去も未来も含めて、貴様は、間違いなく人類の一等賞だ。……しかし、勝てない。私には。なぜか。私は神で、貴様は人間だから。しごく、単純な話」
「……」
「いくら策を弄しようと無意味。どれだけ緻密に計算し、私をワナにはめようと無意味。絶対的な存在値の差が、貴様に可能性を許さない。私という不可能を前にして、ただもがき、苦しみ、そして死ね」
「……ふざけた話やで……いや、でも、そっちの方が筋は通っとるんかもなぁ。神様相手に、人間一人が何をしたところで、どうしようもない。それが、普通っちゃあ普通」
そう言いながらも、
トウシは、
「けど、死にたくないからのう……」
ため息をつきつつ、
武を構えた。
策を弄しても無意味だと断言されてしまえば、
もはや、
『右ストレートでぶっとばす、まっすぐいってぶっとばす』
という愚直スタイルで挑むしかない。
得意な分野ではないが、
しかし、それ以外に方法がないというのであれば、
受け入れるしかない。
トウシは、
「トランスフォーム。モード・機械仕掛けの神様」
携帯ドラゴンを装着し、
全身のオーラと魔力を充満させると、
ロイガーに向かって、全身全霊の一撃を叩き込んだ。
トウシの拳が届くまではもちろん、
届いてからも、ロイガーは、ずっとニタニタと笑っていた。
その表情を見るだけでも、
自分の行動がどれだけ無意味か理解できた。
「その拳では、100万発あててみたところで、私にダメージ一つあたえることは出来ない」
「……そうみたいやなぁ……やせ我慢しとるって感じには見えん……」
トウシは、軽くうなだれて、
「こら、あかんなぁ……」
ただただ純粋に絶望する。
軋む奥歯が痛んで、
むき出しの心が凍てついた。
「人間が、何をどうしようと、神様が相手やと、何もできません……よぉ分かったわ。ほんまに、ふざけた話やけど……これが、世界の真理……ゆるぎない摂理……」
「正しく理解できたようだな。それで、どうする? そのままおとなしくしているなら、貴様の、その『人の領域を大幅に逸脱した破格の頭脳』に敬意を表し、できるかぎり楽に殺してやるぞ」
「……優しいねぇ」
「神は人に慈悲など見せないが、優れた魂魄には敬意を表するのさ」
「……ああ、そう……ほな……できるかぎり、楽に殺してもらおうか……ほんまに、できるだけ、サっと殺してくれよ。苦しいとか、痛いとか、そういうんを可能な限りゼロにしてくれ」
そんなことをつぶやいたトウシに、
トコが、
「いや、ちょっ、まってくれ、田中! そんな簡単に諦めんといてくれ! 現状、あんただけが頼りなんやで!」
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