悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
29話 禁則事項です。
29話 禁則事項です。
(うん、これで、だいぶ強化できる……とはいえ、この程度じゃ、とてもやないけど、アウターゴッドに勝てるレベルではないな……もっといる……もっと……)
ちなみに、魂魄処理機構の領域でアレコレしている間、
実のところ、トウシは、他の領域でも作業をしていた。
凶悪なマルチタスク。
頭の出来がケタ違い。
――並行して、異次元同一区間に関する領域の情報をさらっていたのだが、
その途中で、トウシは気づいた。
(……異常なほどのメモリ量を使った情報……厳重に管理された言語データ……世界線の収束点……違うな……そっちやない……これは、ソコにたどり着くための重要フラグ……世界線の収束にたどり着くためのカギ……)
それは、
(……ソンキー・ウルギ・アース……)
別の世界線で、
この世界の主人公が、
黒木愛美に対して、
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、
頭がおかしくなるくらい、何度も、何度も、
己の時空間移動を説明する時に利用したワード。
それは、とても重要な、運命を切り開くためのカギ。
(――『ロギアネームに関する情報の開示は禁則事項です』やと? はっ……ナメんなよ。こっちには、そもそも、開示要求する権利どころか、母体に対するアクセス権すらもっとらん異次元の盗人やぞ。……ワシの前で、情報を縛ろうなんて、そんなナメたマネが許されるとでも? さっそく、ロギアネームに関するデータベースにアクセス……)
すぐに奪い取ってやる、と意気込んでいたトウシだったが、
(あん? 裏からは侵入できません? クソが……なら、正面なら……って、なんや、この膨大な数の扉……こんな、ただの単純作業、普通にやっとったら、1億年くらいかかるがな……)
そう判断したトウシは、
すぐさま、目の前の扉を開くためのソフトを制作する。
必要なパッケージは、神字のマクロの中にいくらでもあるので、
あとは、どれだけうまく組み合わせることができるか、それだけの話。
その辺の分野はトウシにとって、もっとも得意な領域なので、
強力な解析ソフトがすぐさま組み上がる。
(ワシの前で情報を隠すことなどできんのよ)
盗人の笑みを浮かべるトウシ。
けれど、
『禁則事項です』
『禁則事項です』
『禁則事項です』
『しつこいなぁ』
(……なっ……ワシの解析ソフトが看破された? むしろ、利用されて壁が一つ増えた……うそやん……)
普通に呆然とするトウシ。
絶対の自信が崩れていく。
(……くっ……なら、別の方法で……)
手段は、いくらでも思いつく。
プライドにひびが入ったが、
しかし、その実力に陰りはない。
山ほどのシステム突破理論を全投入して、
どうにか、壁を乗り越えようと奮闘するトウシ。
しかし、
『禁則事項だっつってんだろ、いい加減にしろ』
(……ぁ、あかんな……完全なロックがかかっとる……なんで、このロギアネームとかいう『特殊な名前に関しての情報』だけ、こんなにも警備が厳重なんや……)
結局、突破することはできなかった。
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