悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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10話 茶柱を疲れさせる逸材。


 10話 茶柱を疲れさせる逸材。

「……お前、一限目の倫理の時、わざと、『GOOがどうたら』って言葉を口にしたやろ」

「なにを言っているのか、さっぱり分からにゃいけど、仮にそうだったとして、だからなんなのかにゃぁ?」

「ワシは、無駄に、そこそこプライドが高い方でのう。誰かにいいように使われるというのが我慢ならんタイプなんや。特に、『思考誘導系の上等』をかまされるんが煮えくりかえるレベルでイラつく」

 そう言いながら、
 トウシは、まっすぐに、彼女を睨みつけて、

「ワシに危機感を抱かせて、何がしたい? 迂遠な方法でつついてこんと、普通に、正面からぶつかってこいや。ことと次第によっては、聞いてやらんこともない」



「……ツミカさんは、自分より賢い人間というのを知らないにゃぁ」



「……あん?」

「ツミカさんより賢い人間なんて、存在するわけがないと思って生きてきたんだけど……」

 ジっと、トウシを見つめて、

「……んー……なんで、今まで気づかなかったのか、不思議だにゃぁ……」

「なにがだ?」

「タナてぃんってさぁ……ツミカさんより、賢くね?」

「誰が誰より頭がいいかなんて、はかりようがないから知りようがない」

「学校のテストとか、IQとかで測れるんじゃないかにゃ?」

「そんなもんはただの数字や。そもそも、『頭の良さ』の基準が曖昧。学力で数値化できるのは『底の浅い情報処理速度』と『偏った知識量』ぐらい。IQで数値化できるんは『一部の空間把握能力』と『局所的な直観力』だけ。……けど、社会で必要とされる頭の良さは『無限の創造力』と『感受性を中心とした総合的人間力』。その辺を数値化するのは永遠に不可能。『無限』は数字やなく概念やし、『感受性』は方向性であって正解不正解で測れる類のものやない。――『論理的思考力』や『認識力』や『説明力』なんかも、頭の良さを示す項目として重要やけど、そのへんを数値化するんは、どうあがいても不可能。……もう少し視点を変換すると、『知的好奇心の質量』こそが『頭の良さ』の中心と考えることもできる。どこに基準を置くかで、頭の良さの査定は変化する」

「ごちゃごちゃ、ごちゃごちゃ、小うるさくて、小賢しいにゃぁ……マナてぃんとしゃべっているみたいで、イライラするにゃ」

「……丁寧に説明してやっとんのに、イラつかれるとはこれいかに」

 トウシと相対するのに疲れた茶柱は、
 懐から、ソっと、一枚の紙を取り出して、

「あげるにゃ」

 そう言いながら、その紙をトウシに差し出す。

「……ぁあ?」

 訝し気な目をするものの、
 とりあえず、受け取ったトウシは、
 紙に書かれている内容に目を通しながら、

「なに、これ?」

「これはツミカさんがもっているエイボンの書の『袋とじ』のコピーにゃ」

「……いろいろ、情報が多すぎて、処理するんが大変やな……」

「タナてぃんの情報処理速度なら、問題ないと確信しているにゃ」

「ワシの何を知ってんねん」

 ため息をついてから、

「というか、お前、魔導書もっとんのかい……なるほど、だから発狂しとんのか。納得や」

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