悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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9話 茶柱罪華は、いつだってウザったい。


 9話 茶柱罪華は、いつだってウザったい。

(でっかい図書館やなぁ……)

 そこらの図書館三つ分に匹敵する巨大図書館。
 この学校は、基本的に、頭がおかしい。

 図書館の中は吹き抜けの構造になっており、
 あちこちに、観葉植物が設置されていた。

 ガラス張りの天上から降り注ぐ光は角度が絶妙で、
 幻想的な雰囲気を醸し出している。

(……禁書エリアは……5階の奥……)

 エレベーターを使って目的の階層まで向かおうとするトウシ。
 中に乗り込んで、『5階』のボタンを押して、『閉める』を押そうとしたところで、

 ――スっと、どこまでも自然に、
 『茶柱罪華』が、エレベーターの中に乗り込んできた。

「……お、偶然だにゃぁ。はろはろ~」

 などと言いながら、
 ニタニタ顔で手を振ってくる彼女に、
 トウシは、


(……偶然ねぇ……ウソこけぇ)


 うたがいの目を向ける。
 彼女は、なんというか、とにかく怪しい。

 『何がどう』ではなく、言動がすべて『作為的』なのである。

 あと、普通に、トウシは茶柱が苦手だった。
 どう表現すればいいのか分からないのだが、
 彼女に対して、嫌悪感とは違う、
 特殊な『厄介さ』を感じている。

(この手の、すべてが『うそっぽく見える人間』はたまにおるが……この女のソレは、レベルがケタ違い……嘘が多いとかいうレベルではなく、どこにも本音がない。全部がハリボテ……このワシをドン引きさせるほど他者に関心がない……いや、関心がないというより見下しとる……)

 卓越した観察眼がなくとも、
 『そこまで』なら、誰だって理解できる。
 茶柱罪華は、常に、周囲を見下している。

 トウシは黙ったまま、
 『自分の横に立つ彼女』を尻目に、
 彼女に関する色々なことを考えた。

 目的の階層について、エレベーターを降りるトウシ。
 そんなトウシの背中に、黙ってついてくる茶柱。

 トウシは、奥にある禁書エリアに入り、
 古びた表紙が並ぶ本棚を見つめる。

 その様子を、だいぶ至近距離で観察してくる茶柱。

 さすがに、たまらず、

「ワシになんか用か?」

 そう声をかけると、
 茶柱は、黒い笑みを浮かべて、

「自意識過剰だにゃぁ。ツミカさんは、気晴らしに本が読みたくなったから図書館にきただけだにゃ。今のタナてぃんは、あれだにゃぁ。『落とした消しゴムをひろってもらっただけで、強い好意をもたれていると勘違いするタイプ』だにゃぁ」

「そんな変態とワシを一緒にすんな。仮に、ワシがその手の変態やったとしても、お前に対してだけは、そっち系の感情を抱くことはありえん」

 そう言ってから、
 トウシは、普通にイラっとした顔で、本棚に視線を戻す。

(……腹の立つ女やのう……シバきたいわぁ……)

 心の中で、物騒なことをつぶやきつつ、
 トウシは、

(んー……さて……どう切り出すか……)

 といった感じで、考えて、考えて、考えた上で、

「……お前、一限目の倫理の時、わざと、『GOOがどうたら』って言葉を口にしたやろ」

「なにを言っているのか、さっぱり分からにゃいけど、仮にそうだったとして、だからなんなのかにゃぁ?」

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