悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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17話 センエースは混乱している。


 17話 センエースは混乱している。


『さあ、はじめよう。探究者たちよ。私を乗り越えて、最初の一歩を踏みしめよ』


 その言葉を受けて、女子二人の顔に決意の色が滲む。
 この二人の胆力はえげつない。
 覚悟を決める速度は、常人を、はるか後方に置き去りにしている。

 聖堂は、憎々し気に舌を打ちながら、スっと杖を構えた。
 黙って死ぬ女ではない。

 『理不尽な人生』という『敵』と『戦う覚悟』なら、
 中学の時から――才藤零児と出会った時から出来ている。

 そんな聖堂を横目に見ながら、
 華日は、

(ファンタジーって、あたしの趣味じゃないんだけど……好き嫌い言える場合じゃないみたいだし、今だけは我慢してあげるわ)

 青白いモヤがかかった細い剣を抜いて、
 その切っ先を、土人形に向けた。

 そんな、戦う覚悟を決めた二人とは違い、


(おい、おい、おいぃい!! はぁあああああ?! ……おいおいおい……マジか、これ……おいおいおい! ちょっ……えぇえええええええ?!!)


 才藤の心は、不可思議と困惑の深部で喘いでいた。

(ぃや、あれ、ファーストゴーレムだよなぁ?! ま、間違いねぇ。だって、『俺が考えたまんま』だもん! てか、この状況も、何もかも『俺が考えた通り』……えぇ? え? えぇえええええ?! 何、これぇえええええ?! どういうことぉおおおおお?!)

 現状は理解できた。
 自分や彼女たちに『何』ができて、
 これから『何』をしなければいけないのか。
 それだけならば、この空間に飛ばされた直後、
 脳内にインストールされたから。

 ――というか、そもそも『このゲームのルール』なら、
   最初から、この世の誰よりも深く知っている――

 だが、ゆえに、だからこそ、どうしても困惑せずにはいられない。

(な、なんで……ぉ、俺が、中学時代、ずっとノートに書いていたラクガキ――俺が考えたTRPG『真理の迷宮』が現実になってんだよ……はぁあああああ?!)

 困惑している才藤の横で、
 センは、

(俺が得た知識と力は、主の意思を解するためのカギ。求めるべきは、真理……ふむ……)

 先ほどのファーストゴーレムの発言を、
 心の中で、反芻(はんすう)していた。

(あの女どもは、どうやら、力を得ているっぽいけど……俺と才藤は、これ、力を得ているのか? 何も変わっていないように思えるんだが……)

 自分の中に、何か、力が加わったようには思えない。
 というか、実際のところ、センに関していうと、何が強化されたというわけでもない。

(真理を求めるというのも、抽象的すぎて、よく意味がわからんなぁ……)

 ファーストゴーレムの発言は、
 基本的に、フワフワしすぎていて、
 具体的な未来は何も見えない。

(ここまでの流れを見る限り……おそらく、『真理を手に入れたら、条件達成で元の世界に帰れる』……みたいな感じだとは思うんだが……真理って、どうやったら手に入るんだ? その語感から感じる威圧感的に、『ラスボスを殺したら手に入りました』みたいな感じではないと思うんだが……うーむ……苦行をしたり、座禅を組んだりしたら、いつか悟れて、真理を得られたりするかなぁ……)

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