悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
14話 ((うわぁあああ! こいつ、うざぁぁぁい!))
14話 ((うわぁあああ! こいつ、うざぁぁぁい!))
センと才藤の二人は、つい、たがいに、顔を見合わせて、
「「えぇ……」」
と、互いに、不快感を照らし合わせる。
両者とも、
『どうしたものか』と少しだけ悩んだが、
「「いや、あの」」
別に毛ほども知りたくはなかったが、
名乗らされるだけというのが癪に触ったので、
「「そっちは?」」
二人で尋ねると、美少女は目を丸くして、
「は? あたしを知らない? ウソでしょ?」
「「いや、普通に知らんけど」」
二人でハモってそういうと、
美少女は、虫を見る目を強めて、
「……ふーん、なるほどね。そういうタイプか」
「「はい?」」
「あれでしょ? 『自分、テレビ見ないんで、有名人とか知りません』ってヤツでしょ。いるのよねぇ、肥大化した自意識の操り人形になっている痛いバカ。その手のバカは、陰キャに多いと思っていたけど、どうやら、その推測は、しっかりと当たっていたわね」
「まあ、確かに、テレビはあまり見ていないが……しかし、最近だと、その特色は俺だけの特別ってわけでもなくねぇ? 結果論的に言うと、俺のテレビを見る頻度は普通だと思うけれども」
才藤の発言に続いて、
センも、
「俺も、たしなむ程度には見ていると思うが。……てか、なに、あんた、テレビに出ている人?」
「一言でもそんな事言った?」
((うわぁあああ! こいつ、うざぁぁぁい!))
二人が、全力でイライラしていると、
そこで、
その美少女は、胸を張って、
「あたしは酒神華日(さかがみ はなび)。ここまで言えば、流石に、もう分かるわね?」
プライド全開でそう言ってきた。
(酒神……どっかで聞いたことあるような……あ、今朝だ。あのやべぇギャルと同じ苗字……となると、妹か? ああ、そういえば、どことなく、顔の造形は似ている気もしなくはない……メイクの方向性が違いすぎて、パっと見では分かりづらいけど……)
などと、センが今朝のことを思い出していると、
「なに、あんたら、どっちも、変な顔して。もともと、変だけど、さらに変になっているじゃない。もしかして、あんたら、本当に私の事を知らないんじゃないでしょうね。嘘でしょ。なんなの、あんたら。情報に触れると死ぬ病気にでもかかっているの? もしかして、原始人? タールなの? ピテクスなの?」
その問いかけに対し、
才藤が、イライラを隠さずに、
「所持している端末のOSを常に最新バージョンにしている知的生命体を仮に原始人だと定義するのなら、そう呼ばれても仕方がないとは思うが、しかしだな――」
「もういいわ。だいたい分かったから。ようするに、スマホさえ持っていればそれで神になれると信じている愚かな類人猿ってことでしょ」
「それは、類人猿ではなく、ただの、危ない薬をやっている人だ」
「まったく……いいわ。情弱なあんたに、あたしの事を教えてあげる」
そこで、その美少女は、足元に置いてあったパンパンのバッグの中から五冊の雑誌を取り出して、付箋が貼ってあるページを開きながら、
「あたしは、ズバ抜けて成績優秀かつ桁違いに運動神経抜群というスーパースペックを有しながら、中学時代、全国規模の超有名ローティーン雑誌のカリスマモデルでもあった絶対的超絶美少女、酒神華日」
(ヘイ、ガール。あなた、頭にどでかいブーメランが刺さっていますけど、大丈夫? 息してる?)
センは、心底から呆れかえるというムーブと同時に、
ハァと一度、大きくため息をついて、
(ここまで痛い女はなかなか見ないなぁ。えぐすぎる……ほんと、えぐすぎる)
普通に顔を歪ませながらも、
一応、雑誌に目を通してみると、
事実、目の前にいる女のキラキラした写真がバンバン掲載されていた。
同時掲載されている他の連中が可哀そうになるほど、彼女はダントツで輝いていた。
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