悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

97話 道理。


 97話 道理。

「げへっ、ごほっ、げはっ……ぐ……せ、センエース……お前が普通じゃないことぐらいは……今の俺なら一目で分かる。お前が何者かは知らんが、ただごとじゃないエナジーを保有していることだけは、なんとなく分かる……」

 盛大に血を吐きながら、
 真っ赤なオーラをごうごうと燃やして、
 天童は、センを睨みつけ、

「……あいつを……ソルを殺さないと、全部が終わる……だから……一緒に戦ってくれ……」

 その大量の吐血を伴う『救援要請』に対し、
 センは、

「あいよー」

 片手をヒラヒラさせながら応えた。

「……ず、随分と軽いな……あいつは……ソルは、とんでもない化け物なんだぞ……」

「そんなもんは見れば分かるよ。アレは、今までに見てきたどれよりもエグい」

 そう言いながら、センは、武を構える。

「スーパーセンエースとどっちが強いか……その辺はちょっと不明だが、どっちの方が上か分からないと迷える程度には強そうだ……エグいねぇ……泣きたくなるぜ……すげぇ逃げたい……」

 グっと奥歯をかみしめて、

「それでも……叫び続けると決めてしまったから……やるしかないんだよなぁ」

 覚悟の確認を終えると、
 センは、空間を駆け抜けた。

 豪速に豪速を重ねて、
 ソルの死角を奪い取ろうと暴走。

 そんなセンに続く天童。
 セン以上の速度でソルの背後を奪い取ろうと全速。

 まずは、天童の剣が、ソルの後頭部をかすめた。
 当たり前のように、天童の一撃を回避したソルは、
 その後に迫りくるセンの拳を回避しつつ、
 超近距離で、センの全身をジっと観察しつつ、



「……異物……? なんだ、コレは……? ん?」



 首をかしげた。
 そして、全力で困惑している。

「私に知らない命などない……なのに、こんな命は知らない……貴様はなんだ? なぜ、魂魄の奥に、天童久寿男が少し混じっている? いや、混じっているというより、纏っている? 天童久寿男だけではない……平熱マンも……異守も、限村も、才藤も……なんだ、貴様は……どういう命だ?」

 何が何だか本当に分からないという顔で、
 ひたすらにセンを観察することに徹するソル。

 そんなソルに、センは、

「俺と殺し合っている時に、俺が誰かを探るなど、愚の骨頂ぉおお!!」

 速度をグンと上げて、
 拳にオーラと魔力をぶちこんで、

 加速して、加速して、暴走。

 その肉体と魂魄の全てでもって、
 センは、

「閃拳!!」

 積み重ねてきた必殺技を放った。

 愚直に、ただ愚直に積み重ねてきたセンの拳が、


「フルパレードゼタキャノン!!」


 天童の攻撃というサポートを受けて、
 ソルへと届く。

 天童の凶悪な照射の暴力を、反射で回避したソルの目の前。
 エゲつない火力の拳が迫る中で、
 ソルは、圧縮された時間の中に在った。

(――その気になれば、まだギリギリ回避できるが……なぜだろう、避けたくないと思ってしまうのは。……こいつは誰だ? このへちゃむくれは、一体誰だ? なぜ、私は、この目つきの悪いバカそうなガキに……天童以上の『主役性』を感じている? 意味が分からない。道理が通っていない)

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