悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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68話 仙草学園に向かうセンエース。


 68話 仙草学園に向かうセンエース。

「んー、悩むなぁ。ぶっちゃけ、『定期的に幻爆の剣翼が舞う世界』と比べたら、その他全ての世界が、まだマシに見えちゃうんだよなぁ……んー、あんな世界、ポイしちゃって、こっちをホームにしちゃおっかなぁ。そうすれば、あのキチ〇イ女どもに煩わされることもないしぃ」

 などと、ウニョウニョ悩んでいると、

「貴様の意志は理解した。尊重しよう。条件因子を破壊する」

 ヨグシャドーは、たんたんと、そう言いながら、
 右手の指を天に掲げて、パチンと鳴らそうとした。

 ――そのムーブに対し、センは、心底焦って、

「いやいやいや、待て待て待て! 冗談だよ! 俺の奥にいる『ちょっとお茶目なナイーブ』に軽く翻弄されただけのカワイイ話! 真に受けんな!」

「一つだけ言っておく。私に、お茶目なナイーブは通用しない。あと、貴様は、自分の言動に、もう少し責任を持て。貴様には、『自身の言動こそが、世界の要(かなめ)である』という自覚が足りていない」

「……なんで、俺の肩には、そんな無駄に重い責任が乗ってんの? こんないたいけな一般人に、そんな重荷を背負わせやがって……どうかしているぞ、基本的かつ根本的に」

 ファントムトークで世界を翻弄しようとしても、
 世界は、そんなセンの戯言を一切シカトする。

 世界がセンに求めているのは、
 『陽炎のようなファントムトーク』ではなく、
 『この上なくイカれた英雄の咆哮』のみである。


「……はぁ……しんどいねぇ、ほんとに」


 そうつぶやきながら、センはベッドから起き上がる。

 窓の外から、朝日がさしていた。
 非常にいい天気だった。


 ★


(……この『異世界』にも『閃壱番』は存在していて、俺の記憶と力が、『この世界の閃壱番』にインストールされた……という認識で合っているか?)

 現状を整理しようと、
 今の自分に理解できる範疇で、
 ヨグシャドーに自身の考察を投げかけるセン。

(歪みのない認識だ。異常事態との向き合い方にも、だいぶ慣れてきたな)

(お褒めにあずかり、光栄だよ)

(まあ、しかし、少しだけ誤解もある。この世界の『閃壱番』は、決してセンエースではないということ)

(……どういう意味?)

(器だけは、遥か昔から存在していた。しかし、器だけでは意味がない)

(……説明する気ある?)

 そんなセンの嫌味にたいし、
 ヨグシャドーは反応を示さず、
 自分の言いたいことだけを、
 たんたんと並べていく。

(じきに、この世界における『閃壱番』の記憶も補完されるだろう。というより、すでに、あらかたの記憶と接続できているのでは?)

(……)

 嫌味をスルーされたことに対して、
 数秒の無言で軽い反抗を示してから、
 小さなタメ息をついて、

(……ああ。俺が、『仙草学園』の二年生だって記憶とは接続できている。学校の場所も、行き方も。クラスの場所とか、同級生の顔とか、ちょっと曖昧な部分もあるが、だんだん、開けてきているのも事実)

 ちなみに、現状は、その仙草学園に向かう途中。
 電車に揺られている最中だった。

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