悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
94話 制服姿のオールドレディ。
94話 制服姿のオールドレディ。
「陛下。あなた様の病的な慈愛と高潔さは重々承知しておりますが、しかし、このようなカス相手に、慈悲をみせる必要はないかと存じます。世界のために、地獄の底で、その魂魄の全てを尽くしてくださったお方を、わずかでも不快にさせた者など、許す必要はありません」
「盗撮されるどころの騒ぎじゃない『宇宙的恐怖規模の爆発的不快さ』を、お前らは、俺に、日夜、秒で、プレゼントしてくれているワケだけれど、その辺についてはどう思う?」
「まったく、陛下は、あまりにもお優しすぎます」
やれやれと言った感じで首をふるゾーヤに、
センは、不快感MAXの声音で、
「その、都合の悪いところだけ耳が遠くなるの、やめようぜ。もっと、真正面から、俺の意見と向き合えよ」
そうつぶやくが、
しかし、ゾーヤの『都合のいい耳』には、
センの非難など聞こえていないようで、
パパラッチに対し、
「貴様らにも横のつながりはあるだろう。なかったら、無理やりにでも繋がって拡散しろ。警告するのは一度だけだ。今後、貴様らの業界の人間が、一度でも、陛下を不快にさせたら、その時は、全員を処刑する。全員だ。もちろん、貴様も。連帯責任で、一族郎党皆殺しにする。わかったか? わかったらいけ。そしてその事実を伝えろ。行け」
雑に蹴り飛ばされたパパラッチは、
情けない悲鳴を上げながら、
その場から必死になって逃げだしていく。
その光景を周りで見ていたマスコミ関係者は、
動物的本能で『下手を打てば、自分達も危うい』と即座に理解した。
いつもであれば、『メディアに対して牙をむいた者』には、
『報道の暴力』という『国民扇動力』を使って、
一方的にボコボコにしていく、
というのが、圧倒的強者であるマスコミのスタイルだが、
しかし、『センエース』が相手の場合に限り、
これまでのような『無敵の横暴』は貫けない。
抵抗できない者に対しては強いが、
カウンターの有効打を持つ者に対しては及び腰になる。
極めて『人間』的な対応で尻込みしているマスコミを尻目に、
ゾーヤは、
「いやぁ、しかし、まさか、この私が、学校に通う日がくるとは思っておりませんでした」
そう言いながら、自身の制服姿を見せびらかすように、
センの前でターンをするゾーヤ。
「陛下、私の制服姿、いかがでしょう?」
「なんていうのが正解か、本当に分からないから、黙秘権を使わせてもらいたいんだけど」
「ちなみに、人生初の制服です。私は、学校に通っていた時期がないので。これまではずっと、銃弾と恫喝をBGMに、返り血のついた『作業服(含み)』を着て『清掃業(意味深)』に勤しむだけのつまらない毎日を過ごしておりました」
「だいぶハードな人生を送ってきた様子だな」
「激しいというよりは、からっぽな人生でした。極めて無為で非生産的な時間を過ごしてきて、色々と、己の運命に対して辟易しておりましたが……今は、こうして、陛下の隣に立ち、制服を着て同じ学校に通えております。人生とはわからないものですね」
「人生が奇想天外って点に関してだけは同意するよ」
そう言ってから、
センは、数秒の間をとる。
二秒ほどの覚悟を決める時間を経てから、
ボソっと、小さな声で、
「……似合っているよ、多分な」
と、ゾーヤの制服姿に対しての感想をこぼした。
センの言葉を受けて、
ゾーヤは、爆発しそうになるほど顔を赤くする。
これまでの人生で、他者に心を動かされたことなど、ほとんどない彼女だが、センと出会ってからは、ずっと、魂が震えっぱなし。
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