悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

51話 覚醒のバーゲンセール。


 51話 覚醒のバーゲンセール。

「落ちろ、蚊トンボ」
「それは悪手じゃろ、ありんこぉお!」

 非常に高度なカウンター。
 積み重ねてきた年月と回数を感じさせる、
 完璧と言っても過言ではない一手。

 そのカウンターに対し、
 マイノグーラは、数値の暴力で対抗する。

 スマートさのかけらもない、
 雑な回避。

 センのカウンターを避けたマイノグーラは、
 反撃の届かない安全な距離を確保しつつ、

「……この私をアリ呼ばわりとは、傲慢にもほどがあるな」

「あんたのテンプレにテンプレで返しただけで、アリと思っているわけじゃねぇよ。むしろ、まだまだ、俺の方がアリだ。けど、俺は、そこらのアリとはワケが違うぞ。ハネが生えていて、牙があって、毒を持っていて、なかなかつぶれない……そういう働きアリだ。どうだ、ウザかろう?」

「非常に厄介ではある。しかし、アリのままなら、怖くはない」

「そうだ。アリのままじゃダメだ。もっと先に行く必要がある。オプションがいくらついていようと、ちっぽけなままじゃ、あんたの相手は務まらない。せめて、カマキリやアブぐらいのサイズ感にならないと、あんたという狂気にはあらがえない。だから、俺はもっと先へ行く!!」

 宣言してから、
 センは、胸の前で両手をあわせる。

 祈っているのではない。
 ただ、心を整えているだけ。

「俺の限界は、まだここじゃない! たった二回の覚醒で終わると思うなよ! 収穫祭はまだまだ途中! 俺が積んできた孤高を! 俺が必死になって繰り返してきた地獄を! ナメんじゃねぇええええええ!!」

 同じ一週間を1000回。
 15年前後。

 それだけでは足りない。
 それだけでは不十分。

 だが、センが積んできた時間は、決してそれだけじゃない。

 実際のところ、
 センエースが積んできた年数は、
 200億1万15年。

 もっと言えば、実のところ、
 その100倍近い時間を積んできた。


 ――だから、届く。
 奇跡の友情パワーなんかじゃない!
 機械仕掛けの神様でもない!

 ただ、『泥臭く積んできた孤高』だけが、
 センの未来をきり開く!



「――虹神気――」



 前へ。
 もっと、前へ!

 次へ。
 もっと、次へ!

 そうやって、ギアを上げていく。
 容赦なく、限界なく、節操なく!
 覚醒して、覚醒して、覚醒していく!

 そこまできて、やっと――


「――こんな短時間で、そう何度も、何度も、命の壁を破壊するとは……恐怖を感じざるをえないな。貴様は異常だ」


 まだ、マイノグーラは、本物の恐怖を感じているわけではない。
 しかし、センの異常性にマイノグーラは、
 間違いなく、マイナス寄りの特殊な感情を抱いた。

 センは、ニっと笑いながら、

「まるで、覚醒のバーゲンセールのようだろう?」

 王子テンプレで軽くチョケていくセンに、
 マイノグーラは、真剣な表情で、

「貴様の異常性に安っぽさは微塵も感じないな。凶悪に異質で、激烈に膨大」

 そう言いながら、
 グっと気合いを入れて、武を構える。


「認めよう。人の王よ。貴様は強い」


 マイノグーラを包んでいるオーラが充実していく。
 魔力がジックリと煮詰まっていく。

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