悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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38話 うるさいのは嫌い。


 38話 うるさいのは嫌い。

 シッポをしなやかに高質化させて、
 変則的な軌道のフリッカーをぶちこんでくるカイザーウイングケルベロス。

 その一手は、
 カイザーウイングケルベロスの視点だとジャブ程度の様子見。

 ――が、実質的な数値だけでみると、
 高位のGOOですら一瞬でチリになってしまうレベルのふざけた一撃。 

 『次元違いの凶悪な一手』をジャブで放ってくるという異常事態。
 それが現状。
 一般人ならば、消し炭確定。

 ――そんな、カイザーウイングケルベロスの一手に対し、
 センは、

「俺を相手に、てめぇごときが、ジャブをかましている余裕があるとでも?」

 そうつぶやきながら、
 紙一重でシッポをかわしつつ、
 その流れのまま、シッポの腹を両手でつかみ、
 腰の回転だけで、クンッと、引っ張りこんで、

「うおっ!」

 カイザーウイングケルベロスの体勢を崩させると、
 センは、そのスキに対して、一点集中。


「――『一閃』――」


 魔力とオーラをぶちこんだ図虚空を、
 カイザーウイングケルベロスの喉元に刻み込む。

 わずかなよどみすらない、流れるようなムーブ。
 まるで『タスさんのRTA』のような、
 『すべての無駄』を『限界を超えて削ぎ落した』ようなカウンター。

 そんな神業を受けたカイザーウイングケルベロスは、
 当然、

「がっはぁあああああああっっ!!」

 盛大に吐血して、
 そして、
 そのまま、


「ぐぅ……っ――」


 横たわって動かなくなる。

 ヒーローが、化け物を瞬殺してみせた(実際には気絶させただけだが)。
 その事実を目の当たりにして、かつ、理解した周囲の中学生は、

「「「おぉおおおおおおおお!!」」」

 と、言葉にならない歓喜の雄叫びを上げた。
 女子たちの黄色い悲鳴と、
 男子たちのあこがれの視線。

 ありとあらゆる中学生の羨望と感謝と興奮。
 熱気の中心となったセンは、
 心の中で、

(ハシャいでんじゃねぇよ、バカガキどもが……上空にいる『あの女』は、『そこで気絶しているバカ犬』とは次元が違うんだ……)

 大歓声の中、しかし、冷静に、
 マイノグーラの覇気に震えているセン。

 数秒ほど、天からセンを見下ろしていたマイノグーラは、
 おもむろに、ゆっくりと降下してきてから、


「――うるさい」


 そう言いながら、指をパチンと鳴らした。
 すると、それまで、喉をからして叫んでいた中学生たちが、
 死んだのかと思うほど、ビタっと完璧に黙り込んだ。
 
 一瞬で静かになった現場。
 キーンという、無音特有の波長に支配される。

 その光景を尻目に、センは、

「あいつらがうるさかったのは事実だから、口をふさぐのはいい。というか、むしろ、推奨させてもらいたいくらい……けど、あいつらの鼻を口と同時にふさぐのだけはやめてくれよ。あんたらアウターゴッドは高貴すぎて知らないだろうが、俺ら下等生物は、呼吸ができないと死ぬんだ。それだけ脆いということを理解した上で行動してくれると、大変ありがたい」

 そんなセンの言葉に対し、

「貴様ら下等種が絶望的に脆いということくらいは知っている。貴様らはただのゴミ。存在価値のない虫ケラにすぎない」


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