悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

25話 センエースさえいなければ。


 25話 センエースさえいなければ。

「せめて、お嬢を大事にしてくれる人なら、諦めもつくが、こっ、こんなっ……こんなブサメンのクズにぃい! 絶対に認めないぃいいいいいい!!!」

 狂ったように叫びながら、
 宝生は、出刃を振り回しつつ、
 センに向かって突撃してくる。

 その暴走に対し、センは、心の中で、

(あー、あー、あー……ったく……)

 ウザそうに、つぶやきつつ、
 突き付けられた出刃を、スルリと回避する。

 あっさりと回避されたことに、
 宝生は、

「っ?」

 少しだけ戸惑ったものの、

「よっ、よけるなぁああああああああああああああああ!!」

 さらにキレながら、
 左右に、上下に、と、
 メチャクチャに出刃を振り回し続ける。

 精神の不安定さを体現するかのように、
 視点の定まっていないラリった目で、

「貴様さえ、貴様さえ、貴様さえぇええ! 貴様さえ存在しなければ、マナミ様は自由になれるんだぁあああ!」

 血走った目、
 歯ぎしりで折れそうな奥歯。

 宝生は、感情の全部を暴走させて、

「俺のヒロインを返せぇえええ!! 死ね、死ね、死ねぇええええ!」

 脅しなどではなく、全力のガチンコで、
 センを殺そうと出刃を振り回し続ける。

 そんな『暴走した感情』をぶつけられて、
 センは、

「……ちっ……うぜぇなぁ……」

 普通にムカついてきていた。

 それまでのアレコレで溜めに溜めてきたフラストレーションがボーダーを超えた。
 普通にピキっとひび割れたセン。
 『理性を失うほどのバチギレ』というワケではないが、
 『普通にキレている』と言って過言ではない状態に陥る。

 とはいえ、かつての『佐田倉相手への暴走』という『失敗経験』を経ているセンは、決して、怒りをそのまま暴走させることなく、

「人目バキバキの校内で、ぶっそうなものを振り回すなよ、バカが」

 人差し指と中指の二本で、宝生が振り回している出刃を掴むと、
 そのままの流れで、ヒョイと、気軽に奪い取り、
 続けて、
 カツンッッ!
 と、『自身の額』を相手の額にぶつける。

「うぐっ!」

 ジャブ程度の頭突きをもらって、軽くクラっとする宝生。
 しかし、センは、宝生の額を逃がさず、
 額に額を押し付けたままの超至近距離で、

「確かに俺はカスだが、別に犯罪者ってわけじゃねぇ。その前提から鑑みるに、俺が『今のてめぇ』にとやかく言われる筋合いはねぇんじゃねぇか、あぁん?」

 と、ドスのきいた声でたずねつつ、
 奪い取ったナイフを手の中で弄ぶ。

 その圧力は、一般人のSAN値を下げるには十分だったので、

「――っ」

 宝生は、普通にビビって尻込みする。

 そんな彼に、センは続けて、

「今の俺はなぁ……あのバカ女どもから総攻撃を受けていて、非常にイライラしている。怒りが有頂天に達するとは、まさにこのこと。とにかく、しんどくて仕方ねぇ。そんな俺に上等かましてきたテメェはファンキーが過ぎる命知らず。俺の自制心がハンパじゃないから、まだお前は死んでいないだけ。俺の精神力に感謝しろ。わかったか? 殺されたくなかったら、二度とウザ絡みしてくるんじゃねぇ」


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