悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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62話 本物のプライド。


 62話 本物のプライド。

「今日からお前は俺の力の一つになる。その地獄がどれだけ重いか、身をもって知れ。最初に言っておくが、俺の力の一つになるってことは、エグい地獄とランデブー確定ってことだ」

「……」

 死に掛けているクティーラに、

「とことん地獄を味わって、枕を涙で溺れさせる毎日を積んで……その先でも、『まだ、叫ぶことができたプライド』だけが本物だ。知らんけど」

 センは続ける。

「本当に、心から『自分の存在』を『認めてもらいたい』と願うのであれば、今を飲み込んで、もっと先へ行け。そこにしか、お前が求めるゴールはない。知らんけど」

 あえて、『知らんけど』をつけたのは、
 責任放棄をしているわけではなく、
 むしろ逆。

 自分の発言が『説教』ではないという意思表示。
 上からではなく、隣から言っている。

 もっと言えば、きっと、自分に言っている。
 そうやってセンは、毎日を積んできた。

 クティーラは、

「ぅぅ……ぅううう……」

 痛み、怒り、悔しさ、
 他にも無数にある色々な感情の総攻撃を受けて、
 ただただ涙を流した。

 そんなクティーラに、
 センは、

「そういう涙が流せるなら、お前には、きっと、先があるだろう」

 図虚空を、捕食モードにしながら、

「知らんけど」

 最後にそう付け加えてから、
 図虚空にクティーラを食べさせた。


「眷属システム、起動」


 図虚空は、クティーラを、数秒、モグモグしたあと、ペっと吐き出す。

 吐き出されたクティーラは、
 ガタノトーアとは違い、
 デフォルメされておらず、
 美少女の姿を保持していた。

 それを見て、それまで機能停止していたガタノトーアが、

「おいおい、マスター……なんで、クティーラは、私と違って、ちんちくりんの姿に変形していない? クティーラも、私と同じように、無様な姿に変えろよ」

「元のお前はキモかったからデフォルメさせてもらった。けど、クティーラは、別にキモくないから、このまま使う。カワイイは正義だ」

「……ヒーローが、そんな差別発言していいのか?」

「俺がどんな価値観を持つかは俺の自由だし、お前とクティーラに対する扱いの違いは差別じゃなく区別だ。理不尽な差別による『不条理な不平等』や『無意味な迫害』をなくそうとするのは大事なことだと俺も思うが、しかし、差別って言葉を便利に使って他人を攻撃しようとしているだけの輩を、俺は気にしない」

 『変に偏っている』のか、それとも『ある意味でフラット』なのか、
 その辺が、イマイチ微妙な発言をした上で、
 センは、
 捕食後の余韻でボーっとしているクティーラに視線を向けて、


「クティーラ、お前は、もう、俺の力の一つとなった。その運命から逃れることは出来ない。俺は、『努力という概念を根本からはき違えている感が否めない』から、そんなバカ野郎の眷属をやっていくとなると、今後、苦しいこと、吐きそうなこと、辛い事、しんどいこと、イヤなこと、死にたくなることが、たくさんあるだろうけど、まあ、一緒に苦しんでいこうや」


 キラっと歯を光らせる『さわやかな笑み』でもって、
 ブラック極まりない同町圧力をかけていくセン。


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