悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

56話 ワケわかんないんだけど!


 56話 ワケわかんないんだけど!

「は?! 急に、なに?! キモいんだけど!」

「仮に、私が負けても、お前が、あそこの変態に捕獲されるという未来に変わりはない。お前の未来も『絶死の悪夢』確定。ご愁傷様」

「ワケの分からないことばかり言わないでくれる?! ウザいんだけど! 死んで!」

 叫びながら、
 クティーラは、ガタノトーアとの距離をつめて、
 得意の高火力魔法を連打する。
 洗練された、鮮やかな一手。

 得意なのは魔法だけではない。
 物理も魔法も特殊も、だいたい、なんでも得意な戦闘のスペシャリスト。
 総合力と完成度では、数いるグレートオールドワンの中でも、
 最高格と言って過言ではない、美しいスペックの持ち主。

 クティーラは、非常に優秀な神格。
 もちろん、クティーラよりも『高い攻撃力』を持つGOOや、
 もっと『優れた生命力』を持つGOOは他にいるが、
 クティーラほど、
 『突破力の高い完成度の高いステータス』を有している者は、
 他に、なかなかいない。

 あえて、例えるなら、クティーラは、剣舞型のミミ〇キュ。
 対して、ガタノトーアは、龍舞ボ〇マンダ。

 普通に対峙すれば、やり方しだいで、
 ガタノトーアは、クティーラを殺すことも不可能ではない。
 しかし、現状だと、ガタノトーアは、
 『ひのこ』以外の技は禁止をくらっているような状態。

 ゆえに、勝てるわけがない。
 縛りの強度があまりにも高すぎる。

「ウチのマスターの狂気を知った今となっては、クティーラ、貴様ごときは、絶望と呼べるほどのものですらない」

 本音を口にしてから、
 ガタノトーアは、

「ただ、私が、貴様をどう思うかと、実際の戦局がどう傾くかの間に、さしたる相互性は存在しない。私が、この戦闘をヌルいと感じているからといって、この戦闘に勝てるわけではないという、世界のリアル。これが現実。絶対的な数学的真実」

 そんな言葉を前に置いたうえで、

「しかし、ウチのマスターなら、そんな、『クソみたいな結末をリアルだと思い込む勘違い』ごとブチ殺していきそうだが」

 などと、マスターに対する理解を口にした上で、
 最後の最後まで、
 ガタノトーアは、クティーラに立ち向かった。

 クティーラを殺してしまわぬように、
 自身に大きな縛りを設けた上で、
 必死になって、クティーラを半殺しにしようと立ち回る。

 だが、届かない。
 ガタノトーアの実力では、
 殲滅魔法を封じた上でクティーラを半殺しにすることはできなかった。

 ガタノトーアは、よく頑張った。
 『ひのこ』だけで、必死に削った。
 急所にあてて、『やけど』を引いて、回避を決めて。

 けれど、舞われて、何度もじゃれつかれれば、
 さすがに、体力が持つわけもなく、

 結果的には、そこまで大きく削ることもできないまま、
 ガタノトーアは、『ひんし』になってしまった。

「くははははは! なんか、ワケわかんない戯言を、ごちゃごちゃ言っていたけど、けっきょく、すっごく、よわいんだけど!」

「……そうだな……私は、まだ、抗い方を知らない。私が、今まで、強さだと思っていたものは、ただの数値で……本当の強さではなかった……」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品