悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

24話 センエースがアップをはじめたようです。


 24話 センエースがアップをはじめたようです。

「時間を与えたら、どうなるのかにゃ? 桶屋が儲かるのかにゃ?」

 小首をかしげて質問する茶柱。
 いつもよりも、さらに、シャレっ気の強い態度。

 そんな彼女に、センは、

「……おそらく、ボケたんだろうが……絶妙に、核心をついた発言のような気もしなくはないな……バタフライエフェクト、世界線の移動……」

 などと、しんどそうな顔でつぶやいてから、

「俺に時間を与えたところで、何がどうなるとは言えない……ただ、少し教えてくれ。薬宮の呪いを解く方法は、他にないのか? 『どうにかできる手段』が、『殺害』以外に何かのこっていないか? あるなら、教えてくれ。『かなり無理そうな手段』でも何でもいい。とにかく、他に――」

 その問いに対し、
 薬宮が、

「ない。なんもなかった。ニャルラトホテプに聞いたところ、この呪いを解く方法は他に存在せんとのこと。あたしが死ぬ以外にない。というわけで、もう時間がない。あんたが、ホンマに、コンマ数秒であたしを殺せるんやったら、あんたに頼む。ミレーの手をあたしの血でよごしたくない。どうか、あたしを殺してくれ。頼む」

「……時間がきたら殺してやる。あと十秒ある。ちょっと考えてみろ。本当に何もないか? 『これなら』って方法が、ほんとうに――」

「ないて! もう、時間くる! はよ! もう! あぁああ! ミレェエエエ!!」

 『この男は使えない』と判断したトコが、
 紅院に、自身の殺害を依頼する。

 『逼迫(ひっぱく)した状況だ』と理解している紅院は、
 奥歯をかみしめて、ブレードを強く握りしめて、

 トコの首を切断しようとするが、


「――本当にないか?」


 当然のように、邪魔をするセン。
 今度は、あえて指一本で、
 紅院のブレードを止めてみせるセン。

 その様を目の当たりにしたトコは、
 ブチ切れ顔で、

「アホなんか、お前ぇええええええ! あかぁああん! タイムリミッ――」

 時間がきた。
 呪い発動のお知らせ。

 トコの胸部に、
 禍々しいジオメトリが顕現する。


「うわぁ……ああ……ぅ、嘘やろ……」


 絶望した顔になるトコ。
 震えている紅院。
 しんどそうな顔で天を仰ぐ黒木。
 じっくりと、ジオメトリを観察している茶柱。

 そんな彼女たちを横目に、
 センは、

「いちにっ、いちにっ」

 呑気にストレッチをしていた。

 その様子が目に入った茶柱は、

「なにをしているのかにゃ?」

 当たり前の質問をなげかける。
 センは、不規則に肩をまわして、鎖骨の可動域を広げながら、

「準備運動」

 簡素に答えていく。

「なんの準備をしているのかにゃ?」

「アウターゴッドを殺す準備」

 どこまでも簡素に、
 まるで、当たり前のことを口にするかのような、
 愚か極まりないセンの発言を受けて、
 茶柱は、



「ははははは!」



 と、どこか無機質な、カラっとした爆笑をはさんでから、

「みんな、見て見て、バカがいるにゃ! こんなに脳漿が炸裂したボーイはめったにいないにゃ! 珍しいから、撮っとくにゃ」

 などといいながら、携帯ドラゴンのカメラ機能を使って、
 センを撮影する茶柱。

「顔だけじゃなくて、内面も面白いとか、なかなかのエンターテイナーだにゃぁ、あははははは」



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