悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
18話 1000周やって、けれど……
18話 1000周やって、けれど……
比較してみると、『素のステータス』が、ずいぶんと心もとなく感じるが、基礎ステータスが虫けらのまま、アイテムだけ強くなっても、アイテムに振り回されるだけに終わってしまう。
それに、基礎値がカスのままだと、
アイテムにナメられてしまうので、
『装備者への愛』がなかなか上がらない。
『装備者への愛』とは『装備者に対する敬意』の最終到達点。
装備者がカスのままでは、敬意は抱けない。
敬意を抱けなければ愛は育まれない。
結果として残るのは、アイテムに刻まれた数値だけ。
それでは、器になれない。
極限状態で重要なのは、運命をねじふせる『底力』であり、
『表層だけ』の『カラっぽなハリボテ』に価値はない。
――現状、センのステータスは、
『最低限』の数値にはなっている。
『エゲつない戦闘力』と合わせて、
『強大なアイテム』を扱う器にはなれている。
つまり、センは、ハンパないほど強くなれた。
必死に、真摯に、全力で積んできた『センの全て』が、
今、
センの『器』に、『底力』に、『確かなシルエット』に、
――なってくれている。
だが、
「……これだけ強くなったのに……まだ……だと……」
ここまでくれば、
クトゥルフ・オメガバスティオンにも勝てるだろうと思い、
ニャルに、居場所を聞きにいったが、
「いやいや、普通に全然たりないよ。嘘だと思うんなら、ためしてみる?」
と言われ、召喚されたクルルー・ニャルカスタムと戦ってみたところ、
普通に、ボコボコにされてしまった。
もちろん、
これまでの積み重ねによって、
だいぶ強くはなっているため、
『まったく手も足もでないか』と言うと、
それもまた違う。
ちょこちょこ、ダメージは与えられているし、
たまに、相手の攻撃が見えることもある。
しかし、その辺が限界で、
まだまだ、両者の間には、明らかな格差があった。
「ほらね?」
「同じ一週間を……1000周も……繰り返してきたんだぞ……年数にしたら、もう……20年ぐらい、ひたすらに、自分と向き合ってきた……なのに……まだ、足りないのか……」
絶望するセンに、
ニャルは、
「最低でも、50年ぐらいは積まないと、さすがに勝てないんじゃないかなぁ、知らんけど」
「ごじゅ……」
「かなり少なく見積もって50年ね。実際のところは……どうだろう……わかんないけど、もっといるかもね、知らんけど」
「……」
「さて、さて、それで、どうする? 1000回やってもダメだったワケだけど、ここから、君は、どうする? 『アウターゴッドをどうにかする数字』としては足りないというだけで、実際のところ、『同じ一週間の1000周』は、普通の人間なら、とっくに頭がおかしくなっているキチ〇イボリューム。普通なら、これ以上は頑張れない。普通なら折れる。というか、『常識』を基準に置くなら、とっくの昔に折れて廃人になっているのが普通」
心底楽しそうに、
けれど、どこか、驚くほど真剣に、
「――それだけの絶望を抱えて……それでも、まだ足りないと言われて……それで、君はどうする?」
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