悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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86話 限界を超えて舞え。


 86話 限界を超えて舞え。

 ジャクリナの魔法で起き上がったスリーピース・オッサン。
 それぞれ、センに対する感想を口にしつつ、
 オーラと魔力を練り上げていく。

 その様子を尻目に、センは、
 ジャクリナを睨み、


「なるほど……お前は、メディック担当ってところか? あいさつ代わりのベホ〇ズン、おそれいるぜ」


 そんな『カラっぽの言葉』に対し、
 ジャクリナは、快活な笑顔を浮かべて、

「回復魔法も使えないことはないけれど、メインは、メディックじゃない」

「……じゃあ、お前のメイン職はなんだ?」

「監督。正式に言うなら、現場監督かな」

「……」

「アクバートが現場にいるときは、基本、アクバートに任せるんだけど……今回は、上から、私に勅命がくだったから、この現場における現時点での責任者は私」

 そう言いながら、

 ジャクリナも、濃密なオーラを練り上げていく。

「この場にいるゼノリカ全員に命令」

 すぅと息を吸って、
 まっすぐな目で、天上たちをとらえ、



「――許可する。限界を超えて舞え――」



 その命令を受けると同時、
 ジャクリナ、アクバート、アストロギア、カンツの四人は、
 一斉に、厳かに、優雅に、
 胸の前で、両手を合わせて、


「「「「……リラ・リラ・ゼノリカ……」」」」


 一度、祈りをささげるように、
 謎の言葉をつぶやいてから、



「「「「――神化――」」」」



 命の檻をブチ殺す。
 人の壁を超えて、神の領域へと至る。

 その様を見たセンは、

「ぇ……な……っ」

 別次元の気配に、おののきを隠せない。
 気づけば、瞬間的に、反射的に、逃げだしていた。
 思考を介していない一手。

 純粋無垢な脱兎。
 心の叫びに体が呼応した。
 それだけの話。

 ――けれど、この空間の強固さは、
 想定をはるかに超えていて、
 逃げきることは叶わなかった。

「なっ、なんでだ! ラピッドごときが生成した空間が! どうして壊せない!」

 その叫びに対し、
 ジャクリナが、

「私が補強したから」

 そう言いながら、センの背後に瞬間移動してくる。
 ゾクリと、センの背中に冷たい汗が走った。

「うっ……あぁあ!」

 叫びながら、
 センは、距離を取ろうとしたが、

「がはは! 逃げ場などないぞ!」

 センの目の前に瞬間移動してきたカンツが、
 センの額に、かるいデコピンをかましてきた。

 まったく力を込めていないように見えた。
 事実、カンツは、まったく力を込めていない。

 だが、センは、

「がぁああっっ!!」

 思いっきり吹っ飛んで、
 壁に激突する。

 背中を強打したセンは、
 身悶えしながら、

「うぅう……うぅう……っ」

 激痛の唸りをあげるばかり。

 そんなセンのもとに瞬間移動で近づいてきたアクバートが、

「存在値6000か。想像を超えていたな。貴様は強い。信じられない強さ。しかし、『化け物』の領域を出ていない。我々は神の領域にいる」

「がはは! クソガキ、貴様の数値は、確かに凄まじいが、しかし、『ケタ違い』ではない! 神化したワシらのMAX存在値は『1000万』を軽くこえている! 貴様に勝てる道理などない!」


「……ぃ、いっせんま……て、てめぇ……なにを、ふざけたこと……」


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