悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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31話 あなたは強すぎるから。


 31話 あなたは強すぎるから。

「土下座しながら、クツでも舐めましょうか?」

「……やめてください、おねがいします、社会的に死んでしまいます」

 深々と丁寧に頭を下げるセンに、
 黒木は、呆れ顔で、

「ノリと空気感だけでしゃべるの、やめたらどうです?」

「それは出来ない相談だな。俺のコレは、性格とか、心根とか、そんなチャチなもんじゃあ、断じてねぇ。もっと恐ろしいものの片鱗が、俺の魂には刻みこまれている」

「……かわいそうですね」

「普通に憐(あわ)れむのはやめてくれない? そうなってくると、さすがに泣きたくなるから」

 などと、どうでもいい会話を、軽くこなしたのちに、
 黒木は、

「……実際のところ、どう思います? この世界で崇められている神が、あなたと同じ名前であるという事実に対して」

 その問いかけに対し、
 センは、きわめてフラットな顔で、
 軽くソッポを向きながら、

「……偶然だろう。たかが五文字の発音が、たまたまカブった。それ以上でも、それ以下でもない、と俺は思うね」

 と、言い捨てるセンに、
 黒木は、冷めた顔で、射貫くように、

「そう思いたいだけでは?」

「否定はしない――が、別に、目をそらしているだけってワケでもない。単純な話なんだ。仮に、俺の名前が、『ハエアルさん』や『ピカソ』ぐらい長くて、かつ、この世界の神の名前が、そのまま丸々一致している……っていうなら、さすがに、俺も『ただの偶然ではないかも』と深読みしていた可能性も、なくはない……が、たった五文字ぐらいなら、いくらでもかぶりえるだろう。結局のところは、『妙な偶然』――それが答えだと思うぜ」

 言い切るセンに、
 黒木は、意味ありげな数秒をためてから、


「……私は、ただの偶然ではないと思います」


 そう言い切った。


「根拠は?」

「あなたは強すぎる」

「……」

「バケモノを殺せる能力もそうですが、それだけではなく、あなたは、心が強すぎる。人とは思えない。実は人間ではなく、『英雄の神』でした……と言われた方が、私としてはシックリきます」

「お前、俺のナニを知ってんねん」

 軽くチョケることで話の軌道をそらそうとするセンに対し、
 黒木はまっすぐな目で、

「最初に、あなたから、ループの説明を受けた時、私は、『大幅に話を盛っているのだろう』と思っていました。三桁に及ぶ回数、人類滅亡という地獄を目の当たりにしてきて、かつ、アウターゴッドに勝てない限り、その地獄からは抜け出せないと知りながら……それでも、当たり前のように運命という極端な不条理に抗おうとする超人……それほどまでの莫大な勇気を持つ者が存在するなど、私には、とうてい信じられませんでした」

 黒木は、たんたんと、
 しかし、確かな熱量でもって、

「私の気を引くために、話を大幅に盛っているのだろう――最初はそう思っていましたが、あなたと時間を共にし、あなたの根底にある『性質』を知ったことで、私は、あなたの話が『嘘ではなかった』と強く確信しました」

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