悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

70話 知らんよ。

70話 知らんよ。

「やつらと向き合うことは、ハッキリ言って、とても恐ろしい。一撃で狩れるほどの『弱い神話生物』が相手でも、私は、常に、根源的な恐怖を抱えています」

ここに関しては、ゴキブリをたとえに出すと、
たいていの人にとって、理解がしやすいかもしれない。

人間であれば、生まれた直後の赤子であっても、
ゴキブリに負けることは、
サイズ的な問題で、絶対的にありえない。

しかし、たいていの人間は、
ゴキブリを見つけた瞬間、
震えるほどの恐怖を覚える。

たまに『素手でやつらを狩れる猛者』がいるが、
しかし、その絶対数は極めて少ない。

『かつて、進化前の人類は、ゴキブリに食われていた。ゆえにゴキブリに対して過剰な嫌悪感を覚える』
という説がある。
これが真実だった場合、
『根源的恐怖』とは、
そう簡単に克服できない難題である、
という事が理解できる。

当然、センにも、根源的恐怖はあるわけで、
そして、そのことを、黒木は理解している。

『ロイガーとの闘いで、センが震えていた』という事実に気づいていたのは、
決して茶柱だけではない。

南雲も含め、あの場にいた全員が、
『センがロイガーに対して恐怖している』というコトに気づいていた。

『瀬戸際の感情』を隠しきれるほど、
『センの演技力』はお上手じゃない。

だから、

「GOOと向き合う覚悟は、たとえ、少量であったとしても『敬愛に値する至高の勇気』です。あなたの勇気は、その中でも、最高位と言わざるをえません。……なぜ、それほどの勇気を……なんの報酬もないのに、発揮することができるのですか?」

「お前らだって、これまで、特に報酬もないのに、やってきただろ。それと同じだよ」

「私たちは携帯ドラゴンを持っています。それに、『一等』としての責任もあります。ノブレスオブリージュなどという上等な言葉を使う気はありませんが、『血統』には『一定の責任』が伴うものなのです。私たちは『逃げるわけにはいかない理由』がありました。あなたは違う」

「だから、世界が死んだら、俺も死ぬから、やらざるをえない――」

「そこに関しての話はしていません。私が聞きたいのは、どうして、報酬を拒むのか、という点です」

「……」

「過大な評価は欲しくないという、その謙虚さは、まあ、まだ、理解できなくもない部分がなくもないですが……しかし、あなたの『感謝すら必要ない。シカトしてほしい』という感覚は、一ミリも理解できません。だから、教えてほしいのです」

そこまで詰められたことで、
センは、深いため息をつきながら、

「……しらんよ……」

うなだれつつ、
『本音』を口にする。

「正直、なぜ、俺が、ここまで『過大評価』にビビっているのか、いまいち、理解できてねぇ。でも、なんか……よくわからんけど……あえて言うなら……魂魄が忌避している……王とかリーダーとか……そういう役職からは『とにかく逃げろ』と、心の芯が叫んでいる……理由はマジで知らん……表層では『責任とれないから』と認識しているものの、本当のところは、よくわかっていない……」

「悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く