悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
43話 リーンカネーション。
43話 リーンカネーション。
「……そうか……」
ウムルは、穏やかに、
「ふふ……ふふふ……」
微笑んでから、
「つまらない命だったな……すべての享楽を捨てて、真理を追い続けて、追い続けて……神になったはいいものの、結局のところは『大神の使いっパシリA』になっただけ……『神になれた自分は幸運だ』などと『自身の傷を舐めるだけの惨めなウソ』を垂れ流しながら……ダラダラ、ダラダラと『今日しかない永遠』を生きながら、『上位者にとって都合のいいコマ』をしていただけ……」
「……」
「私の神生は……人生も含めて……驚くほど空虚だった……。無機質な毎日と向き合うだけで、明日を夢見たことすらない。善でも悪でもなく……いつだって、フラットで無味無臭……一言で言えば……私は平凡だった……」
「いや、平凡ではねぇだろ。平凡をナメんな」
「生まれ変わったら……『振り切った生き方』をしてみたいものだ……ダラダラと『他者の駒として使われるだけの退屈な一生』を送るくらいなら……『蝉』や『カゲロウ』のように『わずかな一瞬に全力をかける一生』の方が、まだマシだとすら思う……」
「俺はイヤだな……特にセミはイヤだ。五年も六年も、土の中でジっとして、いざ、外に出られると思ったら一週間で死んで……『なに、そのエグい罰ゲーム? 地獄すぎん?』としか思えねぇ」
「だからこそ美しく輝く……などと思わなくもないが……まあ、そうだな……どうせなら、『何かを残したい』という想いもなくはない……」
ウムルは、まっすぐに、
『ここではないどこか』を見つめながら、
「仮に、また『人や神のような長命種』に生まれ変わったなら……そうだな……『悪に振り切った生き方』をしてみたいな……純粋で無垢な悪の権化……その一生は、非常に楽しそうだと思わないか?」
「まあ、思わなくもねぇよ。妄想するだけなら自由だからな。しかし、実行はしない。死んでも。理由はダセェから」
「ふふ……」
ゴポっと、さらに、黒い塊を吐き出す。
命の大半を吐き出して、カラカラになったウムルは、
「私の命も、あと数秒といったところか……ふふ……ついでだから、最後まで、聞いてくれ。私には、もう一つ、夢がある……」
「興味ないけど、最後だし、一応、聞いてやるよ。どんな夢?」
「主人公のライバルになりたい……『誰にも認知されずに死ぬ脇役』ではなく、『この世で最も重要な存在』の記憶に『誰よりも強く残る命』に……私はなりたい……」
「どうせなら、主人公を目指せよ」
「ふふ……そこまで……おこがましくないさ……それに……主人公は――」
最後に、
「――大変そうだ……なりたくないね……」
そうつぶやくと、
ウムルの体は、パラパラと粒子に分解されていく。
放散された小さな塊は、
ゆらゆらとただよって、
センの足元にある『図虚空』の中へと注がれていく。
数秒の間をおいてから、
センは、
「同意見だぜ」
そう呟き、
バタリとその場に倒れこんだ。
「……そうか……」
ウムルは、穏やかに、
「ふふ……ふふふ……」
微笑んでから、
「つまらない命だったな……すべての享楽を捨てて、真理を追い続けて、追い続けて……神になったはいいものの、結局のところは『大神の使いっパシリA』になっただけ……『神になれた自分は幸運だ』などと『自身の傷を舐めるだけの惨めなウソ』を垂れ流しながら……ダラダラ、ダラダラと『今日しかない永遠』を生きながら、『上位者にとって都合のいいコマ』をしていただけ……」
「……」
「私の神生は……人生も含めて……驚くほど空虚だった……。無機質な毎日と向き合うだけで、明日を夢見たことすらない。善でも悪でもなく……いつだって、フラットで無味無臭……一言で言えば……私は平凡だった……」
「いや、平凡ではねぇだろ。平凡をナメんな」
「生まれ変わったら……『振り切った生き方』をしてみたいものだ……ダラダラと『他者の駒として使われるだけの退屈な一生』を送るくらいなら……『蝉』や『カゲロウ』のように『わずかな一瞬に全力をかける一生』の方が、まだマシだとすら思う……」
「俺はイヤだな……特にセミはイヤだ。五年も六年も、土の中でジっとして、いざ、外に出られると思ったら一週間で死んで……『なに、そのエグい罰ゲーム? 地獄すぎん?』としか思えねぇ」
「だからこそ美しく輝く……などと思わなくもないが……まあ、そうだな……どうせなら、『何かを残したい』という想いもなくはない……」
ウムルは、まっすぐに、
『ここではないどこか』を見つめながら、
「仮に、また『人や神のような長命種』に生まれ変わったなら……そうだな……『悪に振り切った生き方』をしてみたいな……純粋で無垢な悪の権化……その一生は、非常に楽しそうだと思わないか?」
「まあ、思わなくもねぇよ。妄想するだけなら自由だからな。しかし、実行はしない。死んでも。理由はダセェから」
「ふふ……」
ゴポっと、さらに、黒い塊を吐き出す。
命の大半を吐き出して、カラカラになったウムルは、
「私の命も、あと数秒といったところか……ふふ……ついでだから、最後まで、聞いてくれ。私には、もう一つ、夢がある……」
「興味ないけど、最後だし、一応、聞いてやるよ。どんな夢?」
「主人公のライバルになりたい……『誰にも認知されずに死ぬ脇役』ではなく、『この世で最も重要な存在』の記憶に『誰よりも強く残る命』に……私はなりたい……」
「どうせなら、主人公を目指せよ」
「ふふ……そこまで……おこがましくないさ……それに……主人公は――」
最後に、
「――大変そうだ……なりたくないね……」
そうつぶやくと、
ウムルの体は、パラパラと粒子に分解されていく。
放散された小さな塊は、
ゆらゆらとただよって、
センの足元にある『図虚空』の中へと注がれていく。
数秒の間をおいてから、
センは、
「同意見だぜ」
そう呟き、
バタリとその場に倒れこんだ。
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