悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

28話 用事があるので、失礼します。

28話 用事があるので、失礼します。


「……は……ぁ?」

あまりの困惑に呆けているばかりの茶柱。

そんな彼女に、ウムルは半笑いの顔で、

「混沌属性でもついているのであれば、さすがに厳しいところだが、雑にオーラを纏めただけの波動など、その気になれば、いくらでもかき消せる。経験不足の貴様では、イメージすることすら難しいだろうが、魔力の扱いを極めると、こういう事もできるようになるのだ」

「……」

「……『今のフルゼタ』が貴様の『とっておき』だな? 後先考えない『切り札の全投入』……その結果、当然のように、魔力もオーラも、ガクっと下がった。もはや、抵抗はできないだろう? さあ、『露骨な人間アピール』はもういいから、黙ってそこで見ていろ。先ほど宣言した通り、今から、お前を、この思念から解放する」

「……やめ……」

茶柱は、血を吐くように、

「……やめて……」

けれど、
そんな決死の想いなど、

「アピールはもういいと何度言わせる」

ウムルには届かない。

その様子を見ていたセンは、



「あのー」



それまで、我慢して黙っていたが、
ついに我慢しきれなくなって、

「盛り上がっているところ悪いんだけど、ちょっと用事できたから、行っていい?」

「……」

「私は構わないぞ。好きにしろ」

「あ、そうすか。あざっす」

感謝の言葉を述べてから、
ツミカに視線を向けて、

「茶柱。俺が、このまま、ここにいても、役に立てそうにないから、ちょっと失礼させてもらう。別にいいだろ?」

「………………誰も……ここにいてほしいとは言っていない……」

「あ、そ。……じゃ、ま、なんかつーか、色々アレだけど、とりあえず、強く生きろよ。そんじゃ、そういうことで」

そう言い残し、
センは、駆け足でこの場から去っていった。

茶柱は、センの背中を、数秒だけ見送ってから、

「……アレが……人間だ……」

ボソボソと、

「醜くて、無様で、幼稚で……矮小で狡猾な、ただの気持ち悪い獣……虚栄とお為(ため)ごかしと自己愛の権化……あれが、あれこそが人間だ……」

センの背中をモデルに、
『人間』を語る。

「おそらく、私とあんたが闘っている間に、アドレナリンが切れたのだろう……どうやら、あいつは『純粋な戦闘狂』なんかじゃなく『その場のテンションに左右されやすい』だけの『脳天ハッピーボーイ』らしい」

『アドレナリンのマリオネット』は珍しくない。
人は『感情だけ』で動くことも多いから、
テンションがハネ上がっている時は、
ありえない行動をとることもある。
しかし、テンションだけで動いていた場合、
すぐに『活動限界』がくる。

「少し冷静になって、状況を処理してみたら『このままここにいたら普通に殺される』という当たり前の理解に至って、だから、颯爽と逃げ出した……なんて分かりすい人間。少なくとも、あれは、少年漫画でよく見る『救いのヒーロー』なんかではない。『気持ちのいい勝利』以外に興味がない『勝てる相手』にだけ挑む凡人……」

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