悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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42話 センエースの歪なプライド。

42話 センエースの歪なプライド。

「ワナ……というか、『魔法』の中に『空間移動系』は普通に存在する」

「……なるほど。じゃあ、次の質問。『ナビゲーション・グール』って言葉に聞き覚えは?」

「……は? なにそれ?」

「おそらく、俺がさっき殺したグールの正式名称。あいつを殺した直後、脳の中に、誰かの声が響いた。『ナビゲーション・グールの撃破を確認。転移のワナを発動する』……みたいな感じの声。そういう、脳に響く声に覚えは?」

「……ない……」

「……マジか……そうすると、お前の視点では、俺が本当のことを言っているのか、それとも嘘ついているのか、まだ微妙な感じになるな……」

などとつぶやきつつ、センは、

(俺が軽蔑されるだけで終わるなら、最悪それでも別にいいが……『俺の犯罪履歴が確定することによって、薬宮の心に傷が残ってしまう』って話になると、さすがに、『それでもいい』という処理の仕方は通せねぇ……)

『センエースのプライド』の『異常さ』が、
今回の件を例にするとよくわかる。

センは、紅院の『脅し』を聞くまでは、
『まあ、最悪、ノゾキ魔あつかいでもいいか』
ぐらいの覚悟が決まっていた。

『実際に性犯罪に手を染める』のと、
『誤解をくらう』の間には大きな齟齬がある。

その前提を踏まえて、センのプライドを分析すると、次の通りになる。

『身の潔白を、必死になって喚き散らす』ことは、
センの中では、みっともない行為。
もちろん、正統な自己弁護は、まったくもってみっともなくはないのだが、
『センの中』では、なぜだか、みっともない行為と判断されてしまう。
//意味不明//

『誤解だけど、そう思いたけりゃ、そう思ってろよ』
『お前がどう思うかは、いつだって、お前の自由さ』
『確固たる前提として、俺は何も悪い事はしてねぇ』
『俺自身が、俺の無実を知っていれば、それでいい』

この思考形態こそが、センのプライド。
プライドというか……キ〇ガイの妄言。
もっと言えば、センの中に根付く『中学二年生』の大暴走。

――だから、センは、
最終的には『誤解されたまま』で、
この件が収束することも覚悟していた。

しかし、薬宮トコの精神面という厄介な前提が加わったことで、
センは、プライドを遠投して、
『状況に応じた最善』を徹底的に追及するハメになった。

センは、時にプライドをへし折ることもいとわないプライドも有している。
そんな、極めて歪な資質の持ち主――それが、究極超凡人センエース。

(俺の人間性と、グールどうこうを並べ立てるだけじゃ、決定打にかける……もっと、何かないか……何か……)

どういうべきかを悩んでいると、
そこで、
着替え終わったトコたちが、
シャワールームに入ってきて、

「ミレー、見張り、かわるから、着替えてきぃ」

「トコ……ちょっと」

そう言って、
紅院は、トコにボソボソと耳打ちをする。

トコは、怪訝な顔をしてから、

「ほう……わかった。とりあえず、着替えてきぃ」

そう言って、紅院をシャワールームから出すと、

センの背中に、

「とりあえず、その体勢やと、こっちとしても話し辛いから、こっち向けや」

          

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