悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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36話 奇跡的な制御能力。

36話 奇跡的な制御能力。

「赤子に10キロマラソンなんてクールなアクティビティがかませるか? あん?」

「奇跡的としか言いようのない『信じられない制御能力の高さ』が、異常極まりない肉体の脆弱さを、ギリギリのところで支えている……なんという、奇妙な個体……ここまで異質な生き物を見たのは初めてだ……」

さすがに、『赤子と同等』は言い過ぎにしても、
『現状のセンの肉体』は、驚くほど脆弱。

少しニュアンスが違うのだが、無理に例えるなら、
『筋肉の中身がカスカスになっている』みたいな感じ。

ジストロフィー系の病気によって、
骨格筋と平滑筋が破壊された状態、
と例えてもいいかもしれない。

本来であれば、
『立ち上がるだけ』でも数十秒を必要とし、
『立ち上がったころには、息切れを余儀なくされる』ほど、
肉体の機能が低下しているはずなのだが、

尋常ではなく鍛えられた『小脳』と『基底核』が、
『超最小のエネルギー』で『限界以上』のパフォーマンスを発揮するよう、
『無意識』のうちに『超次元の働き』を魅せているため、
現状のセンは、
『寝たきりがデフォルト』と言っても過言ではないほど脆弱な肉体でありながら、
『タッパのある黒帯』を投げ飛ばしたり、10キロ前後走ったりできている。


――『訓練されていない肉体』は、
『初心者が書いた無駄の多いプログラム』みたいなもの。


すべての『無駄という贅肉』を削ぎ落せば、
人間の運動ループは劇的にクロックアップする。

「純粋な肉体強度だけではなく、内包されているオーラも魔力も、すべてが、とにかく酷すぎる……これほど『矮小な虫ケラ』でありながら、しかし、どこかで、奇妙な『美しさ』を感じさせる……本当に、際立って珍妙な個体……」

「珍妙って……普通に、イヤだな、その表現。なんというか、リアルすぎる。……せめて、ヤバいとか、エグいとかって言ってくれよ。その方が、まだかわいげがある」

そんなセンの文句を、
バケモノは、華麗にスルーして、

「……これだけ珍妙だと、あるいは、高い生贄適正を有している可能性もゼロではないだろうが……しかし、だからこそ、むしろ、欲しいな」

そこで、バケモノは、ヨダレをたらし、

「お前の脳をすすらせてもらう。どんな味がするか、楽しみだ」

そんな発言を受けて、センは、渋い顔になり、

「はい、どうぞ……とは言えないな。俺は、頭にアンがつまった国民的ヒーローじゃないんでね」

そう言いながら、
センは、スンッっと、腰を落とした。
膝のクッションを自由にする。
両腕も、あらゆる事態に対処できるように、綺麗に力を抜く。

流れるように戦闘準備を整えたセンは、
そんな自分自身に対して、当然、疑問を抱く。

(不思議だ……なんで、俺は、こんなにも冷静でいられるんだ……これほど奇妙な化け物を前にしていながら……しかも、『オレサマ オマエ マルカジリ』宣言をくらっているってのに……)

          

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