悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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33話 アリア・ギアスとは。

33話 アリア・ギアスとは。

「中枢の連中は老獪(ろうかい)で抜け目ないからな。『対あたしら用の隠し玉』がある可能性もゼロやない」



などと話しているミレーとトコの間に、
黒木マナミが、割って入る。

「そんなものがあるなら、この前の『GOO大戦』の時に投入してほしかったですけどね」

と、前を置いてから、

「しかし、本当に、愕然としましたよね……あれだけ大掛かりなことをして、何の成果も得られなかったなんて……正直、いまだにショックから抜け出せていません」

大きなタメ息をはさみ、

「……結局のところ、複数の『魔道書』に書かれていた通り、『アリア・ギアス巨視的な福音』の収束によって、運命的に私達の元へと導かれるまで新人とは出会えないという事なんでしょうねぇ」

「てか、前から思ってたんやけど、なんやねん、『アリア・ギアス』って。どの魔道書にも、名前だけはちょいちょい出てくるけど、ついぞ、意味が理解できた事ないねんなぁ」

そこで、黒木は、『待ってました』と言わんばかりに目を輝かせ、

「アリア・ギアスは、神々の共通概念を暫定的に言語化した固有定型詩です。ようは五次元以上を感知できない人類では処理しきれない『認知の領域外』にある特異的概念を一時的に処理してくれるコンパイラの擬言化ですね。まあ、正確には、そのコンパイラを決定づけるパーサジェネレータの――」

「日本語しゃべれぇえ! 口、裂いたろか、ぼけぇ! てか、ガチで知りたかった訳ちゃうから、黙っとれぇ!」

トコが、黒木マナミを理不尽に怒鳴りつけた直後、
南雲が、

「ぇと……あの……」

この場にいる神話狩り全員に対して、

「ぁ、あの、まだ、色々、全然わかんないんですけど……あの……ありがとう……ございます。助けてくれて……ほんとうに……」

「さっきから言おうと思っていたけど、私たちに対して、敬語は必要ないわ。クラスメイトなんだし」

「そうですよ。クラスメイトに敬語を使うだなんて、妙に堅苦しいですし、なんだか距離を感じてしまいますから、やめてください」

と、慇懃に言った黒木に、
トコは、アホを見咎めるような半眼で、

「……なんや、ツッコんだらええんか?」

「私のこれは、ただのキャラ作りですから、別にいいんですよ。ちなみに、メガネだってキャラ作り用なので伊達です」

「流石、ミレーの友達や。日常生活では常識人の皮をかぶっとるけど、やっぱり、しっかりと頭がイっとんなぁ」

「8本くらいブーメランささってますよ」


「あ、あのっ……」


そこで、南雲は、頭を深く下げて、

「今回は、本当に……命を助けてくれて、ありがとうござ……ありがとう……みんな……」

「気にしなくていいわ。実際のところ、厄介な儀式を行おうとしていた奉仕種族を叩き潰しに来たついでで助けただけだから」

「そうですよ。神話生物に襲われている民間人を助けるのも、私達『神話生物対策委員会』の仕事の一つですから、感謝なんて必要ありません」

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