オウルシティと傷無し
story:14 おい、爺さん!
正門には、電卓の様なものが取り付けられた扉があった。パスコードロックだろう。8桁の数字を入力しなければいけないようだ。パスコードなんて知らないが、知っている必要はない。俺は直感が働く通りにボタンを押した。すると、ピロンッという音と共に解錠された音が聞こえた。
ドアノブを回して中に入る。
その瞬間、嫌な予感がした。すぐさま前方に飛び、前回り受け身を取る。
——チュンッ!
と、後方の扉が音を立てた。今まで自分が居た位置に弾丸が撃ち込まれていたのだ。俺はジャケットを翻し、二丁のコルトガバメントをホルスターから抜き取りざま、照準を付けることなく、直感でトリガーを引いた。左右同時に。
左側の建物の二階のバルコニーから俺を狙い撃ったであろうスナイパーと、これから攻撃を加えようと右建物の陰から飛び出してきた男の短い叫び声が聞こえた。
——パパンッ。パパンッ。
と、更に両手で別々の方向にトリガーを引く。その度遠くでくぐもった叫び声が聞こえた。そんな中、正面から突っ込んでくる男が居た。俺は躊躇いもせず弾丸を放つ。
見事命中し、男が倒れると同時に、楕円形の鉄塊が転がってきた。
——手榴弾か!
俺が銃口を向けるより早く、影が視界の端を横切った。
「おい、爺さん!」
良煙寺理三郎は叫ぶ俺には目もくれず、そのまま手榴弾に向かい、まるでサッカーボールを蹴るかのように蹴り飛ばした。それは建物の中に入っていき、ほどなくして中から爆発音が響いた。
それを見届けると爺さんはゆっくりと戻ってきた。
「できれば戦いたくはないですが、仲間の窮地とあれば仕方ありませんから」
にっこりとほほ笑む。
俺は片方の眉だけを上げて見せて、後頭部を掻いた。
入った瞬間に武装した連中に囲まれたってことは、多分、俺が入ってくることは予想していたんだろう。元々追われていたことには気付いていたはずだし、恐らく塀の周りに防犯カメラの設置ぐらいはしているはずだからな。
ということは、跳浦莉々は既にどこか別の場所に移されていてもおかしくはない。だが、あのバス焼き事件を見て莉々を欲しがったというなら、戦闘人員が目当てだったということになる。なら、もしかしたら俺との対決を望んでいるかも知れないな。何せ“傷無し”。傷の付かない人間なら、どんだけ鉛玉プチ込んだところで関係ねえだろうし。この企業はどうか知らないが、カサブランカ的には俺は邪魔な人間だ。カサブランカに恩を返す為にも、殺せるんならマストで殺しに来るだろう。
などと考えながら、一切この身を忍ばせることなく中央の建物へと向かっていく。機動隊や警察が俺の動きを見たらド素人だと思うだろうな。周りに気を向けるどころか、銃を構えてすらいない。だが構える必要はない。なぜならさっきの攻防から、嫌な予感が全くしなくなった。全員が戦意喪失したか、或いは想の言う通り、少数精鋭でそこまで人が居なかったのかも知れない。つまり敵戦力は今ので削ぎ落した。それなら後先考える必要はない。
後方で死体の処理をしている爺さんを置いて、俺は向かっていた中央の一際でかい建物の中へと入った。
ドアノブを回して中に入る。
その瞬間、嫌な予感がした。すぐさま前方に飛び、前回り受け身を取る。
——チュンッ!
と、後方の扉が音を立てた。今まで自分が居た位置に弾丸が撃ち込まれていたのだ。俺はジャケットを翻し、二丁のコルトガバメントをホルスターから抜き取りざま、照準を付けることなく、直感でトリガーを引いた。左右同時に。
左側の建物の二階のバルコニーから俺を狙い撃ったであろうスナイパーと、これから攻撃を加えようと右建物の陰から飛び出してきた男の短い叫び声が聞こえた。
——パパンッ。パパンッ。
と、更に両手で別々の方向にトリガーを引く。その度遠くでくぐもった叫び声が聞こえた。そんな中、正面から突っ込んでくる男が居た。俺は躊躇いもせず弾丸を放つ。
見事命中し、男が倒れると同時に、楕円形の鉄塊が転がってきた。
——手榴弾か!
俺が銃口を向けるより早く、影が視界の端を横切った。
「おい、爺さん!」
良煙寺理三郎は叫ぶ俺には目もくれず、そのまま手榴弾に向かい、まるでサッカーボールを蹴るかのように蹴り飛ばした。それは建物の中に入っていき、ほどなくして中から爆発音が響いた。
それを見届けると爺さんはゆっくりと戻ってきた。
「できれば戦いたくはないですが、仲間の窮地とあれば仕方ありませんから」
にっこりとほほ笑む。
俺は片方の眉だけを上げて見せて、後頭部を掻いた。
入った瞬間に武装した連中に囲まれたってことは、多分、俺が入ってくることは予想していたんだろう。元々追われていたことには気付いていたはずだし、恐らく塀の周りに防犯カメラの設置ぐらいはしているはずだからな。
ということは、跳浦莉々は既にどこか別の場所に移されていてもおかしくはない。だが、あのバス焼き事件を見て莉々を欲しがったというなら、戦闘人員が目当てだったということになる。なら、もしかしたら俺との対決を望んでいるかも知れないな。何せ“傷無し”。傷の付かない人間なら、どんだけ鉛玉プチ込んだところで関係ねえだろうし。この企業はどうか知らないが、カサブランカ的には俺は邪魔な人間だ。カサブランカに恩を返す為にも、殺せるんならマストで殺しに来るだろう。
などと考えながら、一切この身を忍ばせることなく中央の建物へと向かっていく。機動隊や警察が俺の動きを見たらド素人だと思うだろうな。周りに気を向けるどころか、銃を構えてすらいない。だが構える必要はない。なぜならさっきの攻防から、嫌な予感が全くしなくなった。全員が戦意喪失したか、或いは想の言う通り、少数精鋭でそこまで人が居なかったのかも知れない。つまり敵戦力は今ので削ぎ落した。それなら後先考える必要はない。
後方で死体の処理をしている爺さんを置いて、俺は向かっていた中央の一際でかい建物の中へと入った。
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