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ブサメンに三次元美少女たちが話しかけてくるなんてあり得ないでござる!

みくりや

舞島 早苗の考察その1





 わたしは舞島まいしま 早苗さなえ。高校二年生。クラス委員をしている。自分で言っては何だけれど、成績もよいほうだし、容姿は良い方だからクラスでも人気がある方だ。




 気が付くとわたしは病院のベッドで寝かされていた。
 何があったのか、あまり思い出せない。
 父親は忙しいから、母親だけきて話をしていってくれた。


 母の話では会議室に呼び出されて、強力な薬を嗅がされて意識を失ってしまったようだ。後遺症はないけれど、意識を失ってから2日が経っていた。その犯人は光圀くんだという。




 わたしはこれに大きな疑問を持った。


 あの前後で光圀くんと会った記憶がない。それに謝罪に来た光圀くんは『メガトンプレスしてすみませんでした』といっていたそうだ。




 なぜそれをまともに聞き入れた母。絶対に嘘でしょう!






 こういうことが起きると、ぜったいに彼は反論しない。ハイオークの言うことなんてだれも聞かないと思っているふしがある。


 現にわたしも、彼の話をまともにきいたことがない。
 だってあまりのキモさに彼の紳士さをプラスしてもやっぱりマイナスだし、ちゃんと話そうとしてもキモさが先行して我を忘れてしまうのだ。
 自分で言うのもなんだけれど、わたしは状況にとても流されやすいのかもしれない。




 学校に復帰したら絶対に問い詰めてやろうと思う。学校に行けばきっといつものようにサッカーボールキックを食らっているに違いない。




 検査を受け、異常がないのですぐに退院できた。それから次の日に学校へ行くと、彼はお休みだった。




「委員長?大丈夫だった?」
「キモデブハイオークに襲われたんだって!?」
「いや、それは誤解……」
「いやーあいつは何時かやるとおもってたんだよなぁ。mikuちゃんのときといい、今回もまたやりやがった。もう狩るしかなくない?」




 今までのわたしだったら、このまま流されていただろう。でもそれは本能が許さない。彼はおそらくやっていないのだ。




「違う!彼は絶対にやっていない!被害者のわたしが断言する!」
「なっ!?委員長!かばうのかよ!」
「ありえんてぃ~」
「相川さんのときも誤解だと、本人から聞いた!」
「うっそだ~」
「委員長……つまんね」




 は?




 おもしろい面白くないという話ではないとおもう。でもこれを面白くしたい人間たちがいることを知った。明らかに悪意だ。それにこれは……。




「委員長さ~……うざいよね」




 なに?これは……。まさか標的が私に移ったということ?






 ……ううん。これは光圀くんの存在がないことに起因するでは?




 彼はクラスのうっぷんを、すべて引き受けていたのではないだろうか?なじられ蹴られているのに、彼はいつもニコニコしているのだ。


 たまにデュフデュフとキモイ笑みを浮かべてキモイのだけれど、それでも蹴りつけられて、相手がすっきりしているのを見てニコニコしていた。




 わたしは重大なことに気が付いてしまった。
 彼がそんなことを意図的にやっていたとしたら?
 キモデブのハイオークが演技だったら?




 それに気が付くと、今までのすべての行動がしっくり来た。だとするならばわたしに食らわせたという『メガトンプレス』にはいったい何の意味が……。
 そもそも『メガトンプレス』なに?




 わたしはいつも彼と仲が良い、山根くんに聞いてみることにした。




「おお!ついに委員長がこの世界に足を踏み入るのですぞ!」
「い、いえ簡潔におしえ――
「さぁさぁ遠慮はいりませぬぞ!そう我がお答えしましょう!『メガトンプレス』とは!?アニメ『プリティ妖精シルフィちゃん』の第二十八話でシルフィちゃんの仲間の一人、ベルフェさんが使う必殺技を、現実のものへと改良した光圀氏のオマージュ新必殺技なのですぞ!!」


「な、なにを言っているか一ミリも理解ができない……」




 彼は何をっているんだ……。日本語を話してほしい。




「そのベルフェさんもマスコット的に愛らしい容姿でぬいぐるみにもなっているのですぞ?それにプリティ妖精シルフィちゃんの語尾!『なのだわ』は最高にきゅーと――ってちょっと委員長!きいてますか?これからがいいところですぞ!!」




 しまった……はなしかけるんじゃなかった。




「すとっぷ!すとーっぷ!山根くん!とにかくそのメガトンプレスをすると、どうなるの?」
「やや!聞いてなかったのですか?ですから!メガトンプレスはその体重を乗せすべてのチャクラを腹に集めることによって――




「もー!!!うるさーい!!」




ドゴン!!!




「……ぐぅうう!」


ばたん……




「ちょ、ちょっと!!!委員長なにをやってるの!?」
「……え?」
「委員長さいてー……」
「……え?ええ?」
「そんな暴力を振るっといて、なんで不思議そうな顔をしているの!?」




 そうか……これは暴力だ。でも山根君はダメで、光圀くんはいいの?そんなの等しくダメにきまっている。
 なのになんで光圀くんの時はだれも何もいわないの?それどころかもっとやってほしそうに見ている。




「ご、ごめんなさい……山根くん。光圀くんのつもりで殺っちゃった」
「字がこわいのですぞぉ!それにそのサッカーボールキックを受けられるのは、学校中をおいても光圀氏しかいないのぞぉ!!」




「それはそうと、なぜ光圀氏のことをききたがっているのです?あなたは光圀氏の敵ではないのですか?」
「て、敵?」
「光圀氏が襲ったなどとありえない話で、我が盟友は1週間の停学の刑を服役中ですぞ!」


「……え?お休みではないの?」


「冗談ではないのですぞ!!これにはきっと深い事情があるにもかかわらず、我が盟友はなにもいわないのですぞ!あなたこそご存知では?」


「……うそ……な、なんでそんなことに」




 彼のいつもの行動らしからぬ処分だった。彼はブサイクキモデブでいつも誰かに踏みつけられて唾を吐きかけられていた。それでも、嫌な顔もするけれど優しく笑っていた。
 誰かの犠牲になっても文句ひとつ言わない。それどころか紳士な態度以外みたことがない。
 キモいオタクで見た目がブサイクなだけで、それ以外はほぼマンガや小説、テレビ俳優なんて目じゃないほどの完璧な紳士男子の行動だ。


 それなのにわたしを襲って停学?それこそ有り得ない。




 あの時の行動を思い出す。わたしの記憶があるのは会議室にいたところまで。そこに誰かいた?少なくとも光圀くんはいなかったはず。誰か目撃者はいないのかしら。












 その日の夕方。クラス委員の定例会議があったので出席した。
 今日は生徒会からの連絡事項だけだったので、生徒会からの話を聞いているだけだ。特に用意する資料もない。




 会議がおわったら、生徒会長に残るように言われた。ただすこし嫌な予感がしたので、咄嗟にスマホの録音アプリボタンを押しておいた。




「やあ舞島さん。災難だったね。もう平気?」
「え、ええぇ……飯村先輩。ありがとうございます」




 周囲には既に人がいないことをいいことに、生徒会長は少し嫌な笑みを浮かべている。そしてなにより、わたしにいやらしい視線を送っている。




「ボクはキミが心配なんだ。よかったら慰めてあげるよ……」
「いえ……結構です」
「……こわかったろ?」
「……あ……」




 これがイケメンのテクニックというのだろうか、一気に距離を詰め、私の顎をくいっとしたから押し上げると、無理やり視線を合わせられた。
 視線が合うと、なにかぼんやりとさせられる。本当にうまい手だとおもう。でも何故かわたしは冷静な第三者視点でそれを見ることが出来た。一度体験した・・・・・からかもしれない。




 一度体験した?




 そうだ。わたしはこの場面を一度体験している。なぜならば――






 あの日は生徒会長と会っていたからだ。




「……っ!?」
「…………どうやら気づいてしまったようだね」
「……やっぱり先輩だったんですね。あの日、わたしを襲ったのは」
「ははは……まぁばれてしまったのなら仕方ない。ピュウ!」




 そう先輩が指笛をつかうと、数名の人間が教室に入って来た。生徒会のメンバーだ。




「……!?やはりあの時も貴方たち生徒会メンバーが!!!」
「あのブサイクなハイオークは、ぶちのめしてやったらびびって何もいわないからとくしたぜぇ!」




 ブサイクなハイオークは彼しかいない。




「でも言いふらしたところで、ボクの人徳があるからね!たとえ襲ったという証拠があったとしても、キミがビッチでスケベなことをして誑かしたということになるだろうねぇ?」




 それだ!!!なにかしっくりこないと思ったけれど、光圀くんは『わたしがビッチよばわりされる』ことを避けたんだ!!!!
 そう。これならあの紳士的な行動しかとらない光圀くんらしい。




 ふふふ……もうこの男たちは用済みだ。




「飯村先輩?あたし……実は先週までは貴方のことをいいな・・・とは思っていたんですよ?」
「ほぉ。じゃあこのまま慰めてあげるよ」
「慰み者にするの間違いじゃなくて?控えめに言って飯村・・はゲスですね」
「こいつ……おい、早くねむらせちまえ!」
「おう!」




 またあの強い薬品を使うようだ。あの薬品も当然この生徒会の仕業だ。でも相手がいることがわかっている状態では、油断していな状態ではわたしはやられるほど軟じゃない。




バキッ!!ドガッ!
「ぐうううぅうう!!な、なんだこいつ!つえぇ!!」




 わたしは後ろから来た二人の生徒会メンバーをかわし、蹴りとボディブローを食らわせる。そして一度、アウェイまで引く。そして――




「ふ……」




タンッ!シュタンッ!ドガッ!バキィイイイイイイ!!




「「ぐぅあううううう!!」」




 バク転で威力マシマシからの2連コンボで二人を一気に鎮める。




「ひいぃいいい!なんだこの強さ!!」
「油断していなければこんなものですよ?せ~んぱい?……ふふふ」


「ひぃ!」




しょわわわわわわわ……




 わたしがにたりと笑って見せると、飯村先輩はだらしなくおしっこを漏らした。わたしはこれをすかさず写真撮影をした。


パシャッ!パシャッ!パシャッ!


 ついでにそこで寝転んでいる生徒会メンバーの写真も撮っておく。




「さて、これ以上最悪な状態で発見されたくなければ、前回の事件の真実を公表なさい」
「ひっ!!む、むりだぁ!!」
「じゃぁ……もっと無残になってもらいましょうかねぇ?うふ……うふふふふふ」
「か、かんべんしてくれぇ!ボクが言っても、あれはあいつが関わっているから無理なんだ……」
「あいつ……とはどなたでしょう?」


 その男の名は――









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