ブサメンに三次元美少女たちが話しかけてくるなんてあり得ないでござる!
委員長襲来
デュフフゥ!授業中。
何やら多くの女生徒がスマホをいじっている。授業中にそんなことをしていたら、怒られるでござるよ。
特に舞島氏が夢中になってスマホをいじっている。委員長が怒られたら、威厳が保てなくなる。それでなくてもボクを脊髄反射的に罵っている所為で、微妙な立場になっている。
でもなんだかんだいって舞島氏が罵ると、陣内君の蹴りがとまることをボクは知っている。きっと陣内君は委員長にホの字なのだ。デュフフウ!
あ!?
先生が黒板を書き終わって、こちらを振り返ったのに舞島氏が気が付いてない。それどころかスマホにさらに熱中している。
意図しているかどうかはわからないけど、結果としていつもサッカーボールキックを止めていくれる舞島氏には恩返しをしておこう。
ドッガシャアン!!!
「ブヒィイイ!椅子がこわれたでござる!!!」
「「どわああああはははははっはは!!!!!」」
ボクが派手に転げると、クラス中が大爆笑の渦に巻き込まれた。これで舞島氏の面目は保たれたでしょう。ただ先生には怒られそうだけど。
「こらブサ……キモ……なんだっけ?えーとブキ国!なにしとんじゃ!」
もう意味が解らない名前になっている。教師とは思えない言動だ。でも名前を憶えてもらえないぐらい印象に残っていないなら、怒られても次の日には忘れているだろう。
……頭のわるい教師でたすかったでござる。
「デュフフ。椅子が壊れたので交換してくるでござる」
「早くいってこい!」
彼女もこっちを見ていたけれど、ボクは恩着せがましくするつもりはない。彼女を見ないようにして、急いで教室を出た。
デュフフ。お昼ご飯。
いつもは山根氏と席をあわせて、オタク会議を開きながら食事をとるのだ。けど今日はお弁当はないし、mikuちゃんに誘われてしまっているので、オタク会議の開催はできない。
どこで食べるのかmikuちゃんに聞こうとおもったけれど、mikuちゃんは男女のカーストトップグループに囲まれていた。
陣内君やいつもいる取り巻きの子たちも一緒だ。
「あいつと二人っきりになったら孕まされちゃうって!」
「そうだよ。みてあのレ〇プ犯みたいな顔!」
「それにあんなのと一緒にたら、mikuの評判さがっちゃうよ?」
「そうそう、だからうちらと一緒に行こう?」
「……でもあたしは……あ……」
言葉巧みに何人もが連携して、ボクとmikuちゃんの昼食を阻止しようとしている。mikuブランドの評判が下がると言うのは正解だとボクも思う。
mikuちゃんはいつも休み時間にこまめに屋上に行って、踊りの練習をしている。屋上付近は電波が良いから、ボクもよくゲームをしに来ているから見かけるのだ。
屋上付近の階段角にハイオークがいれば、人が寄ってこないのでござる。
「1,2,3,4,5,6,7,8……」
「1,2,3,4,5,6,7,8……」
「……これじゃあまだダメだ。あの子に勝てないっ!」
目標にしている子がいるのか、すごく真剣だったことを覚えている。いつも表面とステータスしかみていない山根氏がしったら驚くだろうな。デュフフ……。
そんな一生懸命なmikuちゃんの評判を落とすようなことは、いくらボクがキモデブ、ブサメンでも絶対にしたくない。
「デュフフ……あ、相川氏。ボ、ボク用事あるから、また今度……では」
「え……あ!」
「そうそうオレたちと行こうぜ!」
「あたしたちとのほうがぜったい楽しいって!」
ボクは早々にその場を立ち去った。周囲にいるカーストトップグループの友達ならきっとつり合いが取れるだろう。それと山根氏と美月ちゃんを二人っきりにする意味もある。
まさに一石二鳥!我策士なり!
……さぁ!購買部でパンを買って、屋上でミルちゃんを愛でるでござる!
デュフフゥ!デュフデュフ!かわいいよミルちゃん!かわいいよぉ!
ボクは屋上の目立たない位置にやって来た。屋上は人があまり寄り付かないので、まったく人がいない。ボクのホームでもある。
パンをもしゃもしゃ食べながら、スマホに集中していた。
「ねぇ……」
ミルちゃんの変身シーンはちょっとエロいなぁ。これではボクのミルちゃんが全国のファンに穢されちゃうでしょうが!!!
「ちょっと……」
それより、私服が……これはなんともまぁボク好みの可愛い服だ!変身後のスーツもすきだったけれど、私服のほうがボク好みだ。デュフフウ!!
「ねえぇってば!!!!」
バチン!!
「ブヒィイイイ!!!な、何事でござるか?」
見上げると、そこには委員長がいた。なんで?
ボクは屋上にいたし、見つけにくい場所にいたはず。なんでこの場所にこれたんだろうか?
「ちょっといいかしら?さっき聞いたハイオークって、キモ……いやあなたの名前って何だったかしら?」
「……デュフフ……光圀 匠」
「じゃあ光圀くん。あなたがハイオーク?」
「し、失礼だなぁ。舞島氏……ボ、ボクは魔物じゃな、ないよ」
委員長は本当にドSなのだろう。まだハイオークを推してくる。
「ま、まぁ良いわ!あなたにお礼が言いたいの」
「お、お礼?」
「そのハイオークが襲ったロン毛のいかにもナンパしそうな奴に脅されていたのよ。わたし」
「そ、それは災難でござったなぁ」
「でも、今日は怯え切ってハイオークハイオークって泣き叫んでいるのよ。おもしろい!」
「……そ、そうでござるか」
委員長は、人の不幸を笑うタイプのドSか。一番最悪な性癖のサドだった。あまり近寄らないようにしないと。
「だけど、写真握られてるから……今日の放課後ちょっと付き合ってくれない?」
「……ま、まさか、ボボ、ボクが彼に写真を消すように言うのでござるか?」
「……お、お願い……」
「わ、わかったでござる……」
はっきりいってボクの方が怖いけれど、ただ横にいてくれればハイオークとして役に立つからと無理やり承諾させられてしまった。
「それと、さっきはありがと!にひひ。ブサメンなのにあんな機転が利くなんて、みなおしちゃったわ!」
そういうと、委員長はにかっと笑った。すごく可愛らしい。まるで二次元の委員長が出てきたようだと思った。なぜか舞島氏もすごく良い匂いがふわっとするし。
はっ!
ボ、ボクにはミルちゃんが…………。
「じゃあ放課後おねがい!校舎裏でまってるから」
「……は、はい……」
放課後はすでに相手が恐怖していて、ボクは本当にいるだけだった。それだけで、写真は全部消してくれるし、逆にお金渡すから勘弁してほしいと懇願されてしまった。
それを受け取ったら恐喝になってしまうので、丁重にお断りした。
「デュフフ……良かった……ですね」
「ほ、本当に……ありがと……ありがとぉ!!」
本当はすごく怖かったみたいだ。ボクの腕にしがみついて、へたり込んで泣いてしまった。これではボクが強姦しようとして泣かしたように、誤解されてしまうでしょうが!!
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