貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第59話給仕

「そんな!これはお店のお金ですから貰えませんよ」

ローズが袋をジェシカさんに返す。

「だって芋煮を作ったのはローズちゃんでしょ?私達がもらうべきじゃないわ」

ジェシカさんが困ったように言ってジフさんを見るとジフさんも同意するように頷く。

「そうだ、ローズちゃんが貰っておきな」

二人が優しそうに見つめると…

「なら…そのお金でお二人のお力を貸してください」

ローズはお金の袋をジェシカさんに渡して頭を下げた。

ローズは詳しい事は省きながら今度お茶会を催す事を伝えると…

「なるほど…お茶会を開くのに給仕が足らないと…」

「はい…そうなんです」

ローズが下を向くと

「そんな事ならお易い御用よ!お金なんていらないわ今日のお礼に是非手伝わせて!」

ジェシカがドンッと胸を叩くと

「いえ、お金はもらって下さい。もしかしたらお給金を渡してない事で問題になるかも知れないので…」

ローズが眉毛を下げて困ったように言うと

「そうなの?なら…わかったわこれはいただきます、お茶会ではしっかりと働きますからね!」

「ありがとうございます!」

ローズは嬉しそうに笑ってカイルを見つめると

「よかったですね」

カイルも嬉しそうに微笑んだ。


「じゃあ詳しい事はまた決まり次第伝えに来ますね、日は9日後です」

「ローズ…最後の日の開催になったのかい?」

カイルが驚くと

「はい…くじを引くのが最後でして…余っていたのが一番最後の順番でした。凄い確率ですよね!」

ローズが笑うと

「それって…」

(意図的なんじゃ無いのか…)

カイルの顔が険しくなる。

「最後に出来るなんて嬉しいです。時間がたっぷりありますから色々と準備が出来ますから」

ローズは気にした様子もなく嬉しそうに話している。

その様子に毒気を抜かるカイルだった…。


「じゃあそれまでに私も用意しておくわ。さぁ今日はもう遅いから二人とも部屋で休んで行ってちょうだい」

ジェシカが言うと

「えっ!」

カイルがガバッと立ち上がる。

「もちろん部屋は別に用意しておくわ」

ジェシカがカイルに笑いかけると…ホッとしたよな残念なような気持ちでそっと椅子に座り直した。

「カイル様…大丈夫ですか?無理そうならおひとりで帰って頂いても…」

ローズが言うと

「いや、ローズを残して帰ったら…クレアさんとスチュアートさんになんて言われるか…大丈夫明日の朝早くに一緒に帰ろう」

カイルの言葉にローズは嬉しそうに頷いた。

早速部屋を案内され2階に来ると

「じゃあローズちゃんはここの部屋で」

ジェシカさんが部屋の扉を開ける。

「いい、ちゃんと鍵閉めるのよ」

「はーい」

ローズは笑って頷くと

「カイル様ジェシカさんおやすみなさい」

挨拶をして部屋に入るとガチャっと鍵を閉める。

「カイル様は隣の部屋を用意しておきました…でもローズを襲おうなんて許しませんからね」

ジェシカがカイルを見つめると

「そんな事は決してしない!」

ブンブンと首を振る。

「冗談ですよ」

ジェシカは笑ってカイルに鍵を渡すと…

「安い宿ですから隣の音がもしかしたら聞こえるかも知れませんがご了承くださいね」

ジェシカは意味ありげにウインクすると…おやすみなさいと挨拶をして階段を降りていった…。

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