貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第44話試験

「では、始め」

大臣の合図に令嬢達が一斉に紙を見つめる…ローズも同じように紙を見ると…

(なになに…まずは一般常識ね…)

ローズが1問目を読むと…

「はっ?」

思わず声が漏れる…

「そこ!静かになさい」

監視役に注意されて思わず口を押さえる。

(何これ…じゃがいもの皮の剥き方…必ず取るべき部分は…バカにしてるの?)

ローズがちらっと周りを見ると…

「うーん…じゃがいもって皮なんてあるの?」

「あれってマッシュポテトの事よね…皮?」

令嬢達が頭を抱える。

(嘘でしょ…じゃがいもを知らないの…)

ローズは愕然とした…

最初の方の問題をスラスラと解いて行く。

次は貴族の令嬢として所作についての問題になると…今度はローズが頭を抱えだした。

(クレアさんにきつく教わったはず…なんだったかしら…)

うーん…浮かんで来るのはスチュアートさんと剣技を交わしたこと…

あー楽しかったなぁ…現実逃避をはじめて窓を見る…。

「ふふ…」

シンと静まっている会場に笑声が聞こえた。

ローズは声が聞こえた方を見ると…ロイ王子と目が合った。

(頑張って…)

王子が笑いながら口パクで応援をすると…

(わかってるわよ…)

ローズはため息を着くと問題用紙に向き合った…。

(ロイ…笑いすぎだぞ…)

カイルがロイに再び注意すると…

(だって見てみろよ…ローズってなんでも顔に出てる…簡単な問題だと口笛を吹きそうな程顔を緩めて…苦手な問題だとあの表情だ…)

口元をおさえてローズを見ている。

カイルもローズの方を見ると…ちょうど問題が解けたのか明るい笑顔を浮かべていた…。

ローズは視線を感じてカイルを見ると…バチッと視線が重なった。

カイルが驚き思わず視線を逸らしてしまう…

(まだ女性が苦手なのかしら…)

ローズは肩を窄めると問題に目を戻した。

(おい…カイル何してるんだよ…)

ロイが呆れてカイルを睨む。

(い、いや…いきなり目が合ったから…)

カイルがどもると…

「はい!時間ですペンを置いてください!」

時間を計っていた大臣が声をかけた。

用紙を集めると…

「これの結果はいつでますの?まぁ誰が合格はわかっておりますが…」

令嬢が聞くと…

「結果は明日にでもお知らせします。お疲れでしょうから今日はもうゆっくりとおやすみ下さい」

大臣達と王子とカイルが部屋を出ていく。

「ローズ…どうでしたか?」

キャシーが声をかけてきた。

「うーん…まぁまぁかな?最初の方は完璧だけど…所作の方は自信ないわ」

「私は逆ですわ…一問目からわかりませんでした…」

キャシーが顔を曇らせる。

「一問目って…じゃがいも!?」

ローズが驚く。

(ご令嬢はじゃがいもが鬼門だったのね…)

「はぁ…やっと終わりましたしこれからお茶でもどうですか?新しい茶葉を手に入れましたの…良ければ一緒に…」

キャシーがちらっとローズを見ると

「ええ!是非ご一緒したいわ」

笑って答えた。

すると…話を聞いていた令嬢達が…

「私もご一緒してもよろしいですか?」

笑顔で近づいて来た…。

「いえ、ローズと二人っきりがいいの!」

キャシーがピシャリと断ると…

「ありがとうござ…えっ!なんで!」

てっきり了承されると思っていた令嬢は驚きキャシーとローズを見つめた!

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