貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第33話一戦

「ぼ、坊ちゃん…」

「その呼び方は勘弁してくれよ~クレア変な事を教えるなよ」

「坊ちゃんは坊ちゃんですからね、しかしローズ様ご婚約者に坊ちゃんはいただけませんよ」

「は~い」

「はい」

「はい!」

「おお、おお厳しくしつけられてるな」

ロイが苦笑すると…

「あんまりいじめるてやるなよ、クレア」

ロイが注意すると…

「いじめてなどおりませんが」

クレアが心外だと顔を顰めると

「そうです、いじめられたことなんて一度もありませんわ!どちらかと言うと王子様の方が酷い…」

ローズがおっと…と口を隠すと

「まぁ仲良くやってるならよかった」

三人仲の良さげな様子にホッとすると

「審査会まであと四日だが…どうにかなりそうか?」

ロイが心配そうに三人に聞くと…三人は顔を見合わせて…

「「「誰に仰ってるんですか?」」」

余裕そうに微笑んだ。


クレアとスチュアートがロイにこれまでの状況を説明していると…

二人になったカイルがローズに話しかけた。

「なぜ…その様な格好を?」

言葉少なめに聞くと

「今日はスチュアートさんに剣を見てもらっていたんです、スチュアートさんはとてもお強いんですね」

「ああ、彼は僕らの剣の師だからな」

「へー!どおりでお強いと…一回も攻撃を当てることが出来ませんでした」

残念そうに言うと

「そりゃそうですよ。俺とロイだって一発当てられたのは最近ですからね」

「そうなんでか?なら…カイル様一戦どうですか?」

ローズが立ち上がって剣を立てると…

「御相手願おう」

カイルも剣を手に立ち上がった。

二人は話し合っている三人の邪魔にならないように離れると…

「ではよろしくお願い致します」

ローズが構えると

「よろしく」

カイルの顔が厳しく変わった。

ローズは少し驚くと…

「行きます…」

スチュアートさんと同じ様に一瞬で詰め寄り突きを繰り出す!

しかし読んでいたかの様にカイルが避けるとローズは後ろに飛び退いた!

一度離れると今度はカイルがローズと同じ様に突きを繰り出す!ローズが避けるがバランスを崩してよろめくとその一瞬をついてローズの首元に剣を立てた。

「参りました…」

ローズが剣を下げて負けを認めると

「相手にもなりませんでしたね」

ローズがスッキリとした笑顔を見せる。

「いや、とてもいい間合いの詰め方でした、しかしもう少し相手の利き腕では無い方を狙うといいでしょう。ここを狙われると相手は怯みますし剣を突きにくくなります」

カイルが真面目にローズにアドバイスをしていると…

ローズがカイルをじっと見つめる。

その様子に気が付き…

「す、すみません出過ぎた真似を…」

カイルが顔を背けると…

「いえ、カイル様は私が女だからといって手を抜いたり剣を使える事を可笑しいとは思わないんですか?」

ローズがカイルと剣を交えた時から感じていた事を聞くと…

「何故です?剣を使うのに男も女も無いでしょう?」

カイルが不思議そうに聞くと

「そうですよね…」

ローズは嬉しそうに同意した。

「私、馬も得意なんです、よかったら今度競走しませんか?」

ローズが聞くと

「是非!」

カイルが嬉しそうに頷いた。

そんな二人の様子をロイ達は見守っていると…

「見てくれ…カイルが女性と笑って話している」

ロイが嬉しそうにクレアとスチュアートを見ると

「女性ではありませんわ、ローズ様だからなのです」

「あの方ならきっとカイル様をロイ様も救って下さると思います…」

「僕も?」

ロイが驚くと…

「それは楽しみだな…」

楽しそうに話している二人をじっと眺めていた。

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