第29話ひとときの休息

クレアさんとスチュアートさんの扱きから早二日…ローズは休憩中に机に突っ伏して微動だにせず寝ていた…

その寝姿にスチュアートは微笑み、クレアはため息をつくとローズ肩にストールをかけた。

「全く…令嬢と呼ぶにはまだまだですね…」

クレアが首を振ると

「しかし頑張っていますよ。このまま行けば予定より早く課題を終えるのではありませんか？」

スチュアートが庇うように言うと

「スチュアートさんはローズ様に甘すぎませんか？」

クレアがジトッとスチュアートを見ると

「そうでしょうか？」

とぼけるように顔を逸らした。

「ハッ！」

ローズがバッ！と慌てて起き上がると…

「す、すみません…寝てしまって…」

ササッと髪と身支度を直して座り直すと

「まだ休憩時間ですから大丈夫ですよ」

スチュアートは、そう言うとお茶を手にローズの元に向かう。

「わぁ！ありがとうございます！本当にスチュアートさんのお茶好きだなぁ…そうだ！今度入れ方を教えてもらえませんか？」

「勿論です」

スチュアートさんが嬉しそうに笑うと

「それと…クレアさんのケーキ…あれも作れるようになりたいなぁ～」

味を思い出し思わずヨダレが垂れそうになると…

「ローズ様！はしたない…まぁ明日で良ければまた焼いて来ますよ…」

クレアさんが恥ずかしそうに顔を背けると…ローズとスチュアートは顔を見合わせて笑った。

「クレアさん、その時は是非一緒に作らせて下さいね」

「…わかりました。この課題が終わったら考えましょう！」

クレアさんがドンッと置いてあった固まりの書籍を叩くと…

「あっ…そこは昨日の夜にサッと見ました隣国の事とその関係性、輸入と輸出についてのことですよね？」

「そ、その通りです」

さすがのスチュアートも驚くと…

「これを全部読んだのですか？」

「気になってつい…勉強してみると面白いですね！私が砂糖が自国で作ってるのは三割しかないなんて知りませんでした…いつもの食べているのが本当は違う国から来ていたなんて…」

「ローズ様…勉強もよろしいですがきちんとお休みになる事も大事ですよ」

クレアさんが心配そうに言うと

「そうですよね、それで倒れでもしたら私もクレアさんも大変悲しいですから」

「はい、次からは気をつけます」

ローズが二人に謝ると…

「でも、お二人共も同じですよ」

ローズが言い返す

「私の為にこんなにもわかりやすく書籍をまとめて来てくださったり…私の身の回りの世話をしながら色々と教えて下さったり…お二人が倒れでもしたらそれこそ悲しいです」

ローズが二人に微笑むと

「私も無理しないように頑張りますからお二人も無理をしないと約束してくださいね」

クレアとスチュアートはローズの言葉に

「参りましたね…」

「ええ…一本取られました。言った手前我々が無理をするわけにはいきませんな」

二人は苦笑すると

「じゃあ今は休憩時間ですよね！お二人共座って下さい。一緒に美味しいスチュアートさんのお茶を飲みましょう！」

ローズが二人を無理やり座らせると…

「ローズ様はまだお茶を飲むんですか？」

クレアが呆れると

「美味しいものは別腹なんです！」

ポンとお腹を叩いて見せた！

「はぁ…ローズ様にはまだまだ教えることがありそうです…」

クレアがため息をつくと

「でも無理は駄目ですからね！」

ローズが笑って言うと

「わかってます」

クレアも思わず笑ってお茶を飲んだ…そのお茶は確かにとても美味しかった。