貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします
第28話クレア視点
私は物心着いた時からメイドをしていた。
祖母も母も姉妹達もみんなメイドだ…メイドをする為に生まれてきたようなものだった。
そんな私に、この国の第二王子のロイ様のメイドという大変名誉ある役職に付けさせて頂いた。
ロイ様は聡明でたまにするイタズラも可愛いものでスクスクと健やかにお育ちになられた。
しかし…親友のカイル様とある事件をきっかけに時折顔が陰る時が多くなっていった
人前では勿論、カイル様の前では元気な様子をいつも通り見せているロイ様がある時ボソッとその時の後悔を口にした…
あの時の傷はカイル様だけで無くロイ様にも大きく心に残っていたのだ…
私がもっとよくお二人を見ていれば…
カイル様の女嫌いが酷くなるにつれてロイ様の後悔も同じように膨らんで行くようだった…
私はそんなお二人の傷を癒えぬまま…この役職を辞めることとなった…
これからは新しいメイドを育てる係となりあんな間違えが決して起こらないようにとより一層厳しくメイドを育てていった…
しかしそんな私にメイド達はついてこれず、みんな逃げ出してしまった
良かれと思いやってきた事は彼女達に取っては重荷でしかなく、私は恐怖の対象だったのだ…
その責任を感じて私はメイド職から退いた…
小さい頃からメイドをしていたのでお金には困ることなくのんびりとした暮らしを送っていたが…張合いは無い…たまに様子を見に来てくれる、ロイ様とカイル様の顔を見るのが唯一の楽しみとなっていた…
「また、メイドの仕事をすればいいじゃないか?」
周りにはそう言われるが一歩踏み出す勇気が出なかった…また同じ事を繰り返してしまったらどうしようかと…
そんな時にロイ様が深夜に尋ねて来たのだ…田舎娘を令嬢に仕上げて欲しいと…
あまり乗り気のしない私にロイ様は私が甘くなる笑顔を向ける…
しばらく退いていた私に頼むのだからのっぴきならない事情だろうが…一週間でなどと無理な事を言い出す始末…
しかし…カイル様の言葉で私の覚悟が決まった!
あの女嫌いのカイル様が女性に興味を持たれたのだ!
ロイ様もどうやらカイル様の為にその女性を立派な令嬢にしたいと考えているようだった…
久しぶりに見せる憂いのない屈託な二人の笑顔に私の心は決まった!
早速早々と準備を済ませて、朝早くからローズ様の元へと向かうとお疲れの様子なのか私が来た事にも気が付かずぐっすりとお休みになっていた…
私はその間にお風呂の準備を済ませるとローズ様を叩き起した。
ローズ様の見た目の第一印象は地味である。
申し訳ないがカイル様もどこに興味を惹かれたのか…
それに手足が荒れて髪も艶がない…これはやりがいがありそうだ!
サッとお風呂を済ませて軽くマッサージをすると嘘のように輝いて見える。
ローズ様は磨けば光る原石のようだった…
早速と色々と教えてみると物覚えもよく、これならと急ぎ足でどんどんと知識を詰め込んでいく。
これが私の悪い癖なのに…
気がついた時にはスチュアートに止められていた…
やってしまった…
久しぶりの仕事でやる気が先走りすぎてしまった…
カイル様とロイ様の憂いを取り除いて下さるやも知れない方なのに…このままあのメイド達の様に逃げ出してしまったら…
そう思うと顔が強ばり手足が震えた…
しかし返ってきたのは感謝の言葉だった
そしてこれからもよろしくお願いしますと笑顔まで…
スチュアートさんを見ると優しく微笑んでいる
「でも少ーしだけ優しくてもいいですけどね」
そう言って笑いかけるこの子の言葉に私は久しぶりに心から笑えたのだ。
祖母も母も姉妹達もみんなメイドだ…メイドをする為に生まれてきたようなものだった。
そんな私に、この国の第二王子のロイ様のメイドという大変名誉ある役職に付けさせて頂いた。
ロイ様は聡明でたまにするイタズラも可愛いものでスクスクと健やかにお育ちになられた。
しかし…親友のカイル様とある事件をきっかけに時折顔が陰る時が多くなっていった
人前では勿論、カイル様の前では元気な様子をいつも通り見せているロイ様がある時ボソッとその時の後悔を口にした…
あの時の傷はカイル様だけで無くロイ様にも大きく心に残っていたのだ…
私がもっとよくお二人を見ていれば…
カイル様の女嫌いが酷くなるにつれてロイ様の後悔も同じように膨らんで行くようだった…
私はそんなお二人の傷を癒えぬまま…この役職を辞めることとなった…
これからは新しいメイドを育てる係となりあんな間違えが決して起こらないようにとより一層厳しくメイドを育てていった…
しかしそんな私にメイド達はついてこれず、みんな逃げ出してしまった
良かれと思いやってきた事は彼女達に取っては重荷でしかなく、私は恐怖の対象だったのだ…
その責任を感じて私はメイド職から退いた…
小さい頃からメイドをしていたのでお金には困ることなくのんびりとした暮らしを送っていたが…張合いは無い…たまに様子を見に来てくれる、ロイ様とカイル様の顔を見るのが唯一の楽しみとなっていた…
「また、メイドの仕事をすればいいじゃないか?」
周りにはそう言われるが一歩踏み出す勇気が出なかった…また同じ事を繰り返してしまったらどうしようかと…
そんな時にロイ様が深夜に尋ねて来たのだ…田舎娘を令嬢に仕上げて欲しいと…
あまり乗り気のしない私にロイ様は私が甘くなる笑顔を向ける…
しばらく退いていた私に頼むのだからのっぴきならない事情だろうが…一週間でなどと無理な事を言い出す始末…
しかし…カイル様の言葉で私の覚悟が決まった!
あの女嫌いのカイル様が女性に興味を持たれたのだ!
ロイ様もどうやらカイル様の為にその女性を立派な令嬢にしたいと考えているようだった…
久しぶりに見せる憂いのない屈託な二人の笑顔に私の心は決まった!
早速早々と準備を済ませて、朝早くからローズ様の元へと向かうとお疲れの様子なのか私が来た事にも気が付かずぐっすりとお休みになっていた…
私はその間にお風呂の準備を済ませるとローズ様を叩き起した。
ローズ様の見た目の第一印象は地味である。
申し訳ないがカイル様もどこに興味を惹かれたのか…
それに手足が荒れて髪も艶がない…これはやりがいがありそうだ!
サッとお風呂を済ませて軽くマッサージをすると嘘のように輝いて見える。
ローズ様は磨けば光る原石のようだった…
早速と色々と教えてみると物覚えもよく、これならと急ぎ足でどんどんと知識を詰め込んでいく。
これが私の悪い癖なのに…
気がついた時にはスチュアートに止められていた…
やってしまった…
久しぶりの仕事でやる気が先走りすぎてしまった…
カイル様とロイ様の憂いを取り除いて下さるやも知れない方なのに…このままあのメイド達の様に逃げ出してしまったら…
そう思うと顔が強ばり手足が震えた…
しかし返ってきたのは感謝の言葉だった
そしてこれからもよろしくお願いしますと笑顔まで…
スチュアートさんを見ると優しく微笑んでいる
「でも少ーしだけ優しくてもいいですけどね」
そう言って笑いかけるこの子の言葉に私は久しぶりに心から笑えたのだ。
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