貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第27話勉強開始

三人での食事を楽しく食べ終わると…クレアさんが声をかける。

「ではローズ様これからの予定をお伝えしますね?」

「予定?」

「はい、ローズ様には今日から様々なレッスンと勉強を受けて貰います」

「レッスン!?勉強…」

ローズの声が上ずる…

「一週間後…正確には六日後ですが婚約者候補達に寄る審査会の事はご存知ですね」

「はい…あることは…知ってます」

クレアさんがよろしいと頷く

「内容としましては一般教養のテスト、その後にお茶会審査、そして最後に王子様とのデートとなります」

「デート!?面談と聞きましたが!」

「まぁ面談という名のデートですね」

「はぁ…」

「まずはテストに合格しなければなりません」

そう言うとクレアさんが机にドンッと本の束を置いた…

「これは…」

ローズが嫌な予感に恐る恐るクレアさんを見つめる。

「こちらをあと五日で全て覚えて貰います!」

そこには座っているローズを軽く隠してしまう程の書籍が積まれている…

「こ、これを全部ですか?」

ローズが本の間から覗き込む。

「所作や仕草、言葉遣いなどは私が…それ以外の歴史や一般教養はスチュアートさんが教えます」

スチュアートさんがにっこりと笑いかけると

「頑張りましょう」

優しく声をかけてきた。

「さぁ、時間がありませんよ!直ぐに始めましょう!」

クレアさんがパンパンと手を叩くと顔を輝かせて腕まくりをした!

ローズはやる気満々のクレアさんに文句を言えるはずもなく…ロイ王子とカイルの顔を思い浮かべ…

(あいつらぁ~覚えてなさいよ!)

怒りを全て二人にぶつける事にした!



「はい、とりあえずこれはここまでです。お疲れ様でした」

スチュアートさんがパタンと本を閉じて眼鏡を外すと…

「ありがとうございました…」

ローズはよろよろっと頭を下げた…

スチュアートさんが苦笑すると

「では少し休憩にしましょうか」

席をたってお茶を用意してくれる。

ちょうど良い温度になっているお茶をごくごくと飲み干すと…

「はぁ…」

たっぷりと息を吐いた…

「大丈夫ですか?よろしければもう一杯お茶をどうぞ」

スチュアートさんがお代りを入れてくれる。

「スチュアートさんのお茶ってどうしてこんなに美味しいんでしょうか…止まりません」

ローズがホッとリラックスしながら美味しそうに二杯目を飲み始める。

「そう言って頂けると大変嬉しいですね」

二人で穏やかな時間を過ごしていると…クレアさんが甘いお菓子を持ってきてくれた。

「ローズ様、お疲れ様でした。さぁ甘い物を取って午後も頑張りましょう」

「は、はぁ~い…」

「返事は短く!」

「はい!」

ローズが姿勢を正すと

「クレアさん、休憩中くらいはいいじゃ無いですか?」

スチュアートさんがクレアさんにまぁまぁと軽く窘めると…クレアさんの顔が曇った…。

二人の間に気まずい空気が流れるとローズが

「いえ!やるからには頑張ります!こういう所からミスが出ますからねクレアさんこれからも厳しくお願いします」

ローズはクレアさんに頭を下げた…が少し顔をあげると…

「でも少ーしだけ優しくてもいいですけどね」

ペロッと舌を出した。

「まぁ…この子は…」

ローズの言葉にクレアは思わず笑ってしまった。

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