貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第22話お願い

「おいロイ、ローズ嬢が戸惑っているぞ。ちゃんといちから説明しないと…」

ケラケラと笑う王子をカイルが窘める。

「すまない。ローズ嬢申し訳無いが話だけでも聞いてくらないかな?」

カイルがローズに手を差し出すと…

「嫌です…話を聞いたら余計逃げられなくなりそうなので…このまま帰らせて下さい!」

もう王子である事も忘れて拒否する!

「カイル、この子思いの外頭が回りそうだね」

「ロイ失礼な事を言うな!」

二人が揉めてるすきにそっと離れようとすると…

ガシッ!

あの時の様に腕を捕まれ捕獲される…

「すみませんが帰すわけには行きません…お願いですから話を聞いて下さい」

「それってお願い?どう見ても強制じゃない?」

ズルズルと引きずられソファーに座らされると両隣にカイルとロイが座って逃げ場を塞がれる…。

「あの…近いんですけど…」

ローズが二人を睨むと

「だって君離れたら逃げるでしょ?」

ロイが聞くと

「逃げません!ここが何処かもわからないし、王子様から逃げるなんて出来るわけないですよ!」

思わず嘘を着くと…

「さっき逃げようとしたよね?」

「あ、あれは王子様が…訳のわからないことを言うから…」

「王子様だなんて他人行儀だな…これからはロイでいいよ」

「いえ、王子様で」

「なら俺は…カイルで…」

「いえ、カイル様で」

ローズは二人の提案を食い気味で否定した。

「じゃあここからは真剣な話だね」

「最初から真剣にお願いします」

「実は今回の婚約者候補の件なんですが…大臣達が何か企んでいると思われます」

カイルが真剣な顔で話を始めると

「大臣が?それって…内乱…」

ローズの顔が曇る

「まぁ…そこまではまだわかっていませんが…今はとりあえず自分の娘や息のかかった者をどうにかして僕の婚約者にしたいみたいなんですよ」

「えっ…でもそれって王子様が断ればいいのでは…」

「それが…どの娘が…とまではわかっていないのです」

「ローズ嬢には婚約者候補達と話をしながらその相手を探して欲しいのです」

「嫌です」

ローズは直ぐに断った。

「何故ですか?」

「だって…中には本当に王子様をしたっている子がいるかも知れないんですよ…そんな子達の思いを踏みにじる事なんて…出来ませんよ」

「ローズ嬢…」

「ですから…私は不敬罪で投獄される方を望みます…父と弟には手紙だけでも書かせて頂けると嬉しいのですが…」

ローズが頭を下げた…すると

「ローズ嬢…ごめんね…」

ロイ王子が唐突にローズに謝る。

「なんで謝るんですか?手紙も書いては駄目だと?」

「いや…今から君に酷いことを言う…だから先にね」

ロイが一瞬申し訳なさそうな顔をしたと思ったら…直ぐに顔を戻した…

「君がもし不敬罪で捕まるとしたら…君の父タウンゼント男爵と弟くんにも何かしらの罰を与えないとならなくなる…」

「何故ですか!」

ローズが大きな声を出すと

「王室への不敬罪だ…娘の君だけの罪で済むわけがないんだ…弟くんも王宮で働く事を望んでるそうだが…その夢は夢で終わる事になるよ」

ローズが絶句する…

「家族に犯罪者が居る者を王宮で働かせるわけには行かないからね…」

「酷い…」

ローズがグッと唇を噛んだ…

「だから言ったでしょ…先に謝るって」

「ロイ、いい加減にしろ!ローズ嬢…決してそのような事にならないように配慮する…」

「配慮って事は…最悪本当にそうなりかねないんですよね…」

「だが…協力してくれるというなら…領地に補助金も出すし弟くんの為に口添えをする事を約束しよう」

「それ本当ですか!?」

ローズが立ち上がると…ロイが頷いた。

「なら、やります!」

ローズは甘い誘いに二つ返事で了承してしまった。

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